ビザ発給数は年々増加している(外務省「平成29年ビザ発給統計」より)

外務省は5月29日、2017年の全在外公館によるビザ発給数が前年比9.1%増の586万9012件になったと発表した。全体の8割を占める中国国籍者に対するビザのうち、中国人観光客については初めて個人観光が団体観光を上回った。

これまで中国人への観光を目的とするビザの発給件数は、団体観光が個人観光よりも圧倒的に多かった。ところが、訪日外国人旅行が「モノ」から「コト」に移り変わったとされる16年には差が一気に縮まり、17年に逆転した。

日本政府観光局の統計値によると、17年の訪日外客数は約2869万人で過去最高を記録。要因としてあげられるのは、17年5月に実施した中国人に対するビザ発給要件の緩和や、継続的な訪日プロモーション、航空路線の拡充などだ。

小売店各社も、インバウンド需要を意識した施策を展開している。ラオックスは、クルーズ船の利用客数増加にあわせて、寄港地に店舗を出店。ビックカメラは、消費者が購入した商品を世界各国へ発送するサービスを始めた。今後も、訪日客の利便性を向上させるサービスが次々と登場する見通しだ。

なお、ビザ発給数は、有効期間中は何度でも出入国ができる数次ビザや、68の国と地域の人々に対して短期間滞在ビザを免除していることもあり、訪日外客数とは一致しない。