2019年4月からドイツ人指揮者セバスティアン・ヴァイグレが第10代常任指揮者に就任する読売日本交響楽団。昨年のメシアンの大作オペラ《アッシジの聖フランチェスコ》全曲日本初演に象徴されるように、現職のシルヴァン・カンブルランが、フランス音楽や近現代音楽で成果をあげていただけに、ワーグナーやR・シュトラウスなど、オペラを中心にドイツ・ロマン派音楽を得意とするヴァイグレが、今度はどんな方向に舵を切ってゆくのかが注目だ。5月28日、ヴァイグレ本人が出席して就任発表会見が開かれた。

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「これまでオペラを多く指揮してきた。フランクフルト歌劇場の音楽総監督を10年。もう少しコンサートも指揮したいと思っていたところ。だから仕事というよりも、楽しみであり喜びだ」。すでに2016年8月に初登場して4公演を指揮、昨年は東京二期会《ばらの騎士》のピットでも振った読響の印象を、「メンバーがいつも100パーセントの力を出して向かってくる。こちらの言うことも、ひと言も洩らさずにスポンジのように吸収してくれるオーケストラ」と語った。

気になる就任シーズンのプログラムについて。この日知らされた一部曲目は、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ブルックナー、ブラームス、マーラー、R・シュトラウスなどのドイツ音楽が並ぶ。「彼を紹介することは自分の使命と考えている」という夭折の作曲家ハンス・ロットの名前もあるが、今後加わる協奏曲のソリストの人選などとともに、「もう少し時間がほしい。ドイツ音楽以外も含めて、さらに色とりどりになる可能性もある」という。10月上旬に予定されている詳細発表を待ちたい。将来的にはフランクフルト歌劇場とのコラボレーションなども視野にあるようだから楽しみ。

ヴァイグレは1961年ベルリン生まれ。ベルリン国立歌劇場のホルン奏者としてキャリアをスタートし、バレンボイムの勧めで1990年代から指揮者に転身した。現在音楽総監督を務めるフランクフルト歌劇場がオペラ専門誌『オーパンヴェルト』の「年間最優秀歌劇場」に選ばれるなど、その手腕が高く評価されている。1980年代にホルン奏者として初来日。以来、今回が21度目の来日というが、いつも1番楽しみにしているのは和食だそうで、「世界一の料理」と語る。

記者たちの質問にひとつひとつ丁寧に答える。そこに垣間見える誠実な人柄にも、過去の客演ですでに楽団員から厚い信頼を得ているという理由の一端がうかがえる。新常任指揮者の任期は2022年までの3シーズン(退任するカンブルランは、「桂冠指揮者」として今後も指揮者陣にとどまる)。来シーズン、新体制となった読響は、どんなプログラムを、どんなサウンドで聴かせてくれるだろう。新たな旅立ちに期待しよう。

取材・文:宮本明

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