中井貴一と阿部寛

浅田次郎の人気小説を映画化した『柘榴坂の仇討』の完成報告会見が30日、柘榴坂に面するグランドプリンスホテル新高輪にて開催。主演の中井貴一、阿部寛、若松節朗監督が出席した。

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本作は、桜田門外の変から主君の仇討の命を胸に秘めてきた男と、暗殺者の水戸藩士の男。新時代の明治に顔を合わせることになるふたりの運命を描き出す。

ふたりの共演は『麒麟の翼~劇場版・新参者~』『ステキな金縛り』に続き今回で3度目だが、本格的なセリフのやりとりがあるのは今回が初めて。だが、仇を追う金吾(中井)と追われる十兵衛(阿部)という関係性を鑑みて、撮影中にセリフ意外に言葉を交わす機会はほとんどなかったという。

阿部は「『麒麟の翼』での貴一さんの役への覚悟や姿勢から、あまり自分が姿を見せない方がいいと思い、『役以外では顔を合わせないと思います』と伝えました」とその真意を明かす。中井は「セリフ上で言葉を交わすだけでしたが、阿部さんの気遣いと真面目さを感じた2か月でした」と撮影を述懐。若松監督が「こんなに仲の悪い役者はいないんじゃないかと思った」と言うほど徹底していたそうだが、そのおかげもあって若松監督は「緊張感が画面に出ていると思う」と手応えを口にする。

“主君への忠義”といった現代では半ば忘れられた価値観を描いた作品だが、中井は「いまニュースは経済ばかり。それが第一義でいいのか? 日本人が持つべきは貧しくなる勇気ではないのか? という思いもあります。おそらく日本人のDNAのどこかにある“義”や“忠義”という気持ち……それをどこかで呼び戻すことで、日本が変わっていくのではないかとの思いがある」と本作が持つ意味を訴える。

阿部も「“義”や“忠義”というのは、効率や便利さを求めるいまの時代において、速度を上げる上では余計なことなのかもしれない。でもそうした精神というのが大事だと思うし、日本人にとって誇りだったと思う」と中井の言葉に深くうなづいていた。

『柘榴坂の仇討』
9月20日(土)全国ロードショー

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