まずは「VOCALOID(ボーカロイド)」から

冒頭から「初音ミク」という名前を書き連ねているものの、この名前を正しく捉えるためには、「VOCALOID(ボーカロイド)」という言葉をまず理解しなければいけません。「ボカロ」と略して呼ばれることもありますが、一体「ボーカロイド」とは何なのでしょう?まずはここからです。

「ボーカロイド」とは、ヤマハ株式会社(以下ヤマハ社)が2003年に発表した「楽器」のひとつで[*2]、「人間の声」という最古の楽器の音を合成して奏でることができます。つまり、「人間の声を演奏する電子楽器」がボーカロイドの正体です[*3]。ただ、楽器とはいっても、実際はパソコン用のソフトウェアですので、ワードやエクセルのようにパソコンにインストールして使用します。そもそもは、生身の人間の歌声を使いづらい場面、プロの現場でのテスト用ボーカルやバックコーラスとして起用されることを想定して作られたものです。

下の動画はヤマハ社が実際にボーカロイドを使って歌曲を作成するまでの方法を紹介したビデオのダイジェスト版です。これを見るだけでもボーカロイドというソフトがどのようなものなのか、ちょっとイメージが掴めるはずです。

声色を決めるのはボーカロイドライブラリ

人間の声が十人十色であるように、ボーカロイドという楽器にも様々な種類の音色があります。あどけない少女の声や若々しい男性の声など、ボーカロイドではそれらが「ライブラリ」という形で独立して提供されています[*4]。ボーカロイドにライブラリを組み合わせて初めて、何らかの声を生み出すことができる仕組みになっているのです。この仕組み自体はヤマハ社が作ったものですが、音色にあたるライブラリはヤマハ社以外からも数多く発売されています。

[*2] 【関連リンク】ヤマハ社 | VOCALOID™ / ボーカロイド公式サイト
[*3] 楽器は「音楽を奏でる目的」のものなので、ボーカロイドも「普通にしゃべる」のは苦手です…
[*4] パッケージとして販売されているライブラリは初めから組み合わせられた状態になっていて、すぐにボーカロイドを使うことができるようになっています