デザート、本場の流儀は?

最後はデザートですね。

「日本では杏仁豆腐が有名だけど、中国では冷たいものはあまり取らないんだ。ごま団子とか汁粉系が主だね。杏仁だったら、杏仁茶なんか頼むと、“おっわかってるな!”と思われるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だいたい流れのコツはわかった気がします。ところで食べるときのNG行為ってあります?

「器は持たない。持っていいのはご飯くらいかな。スープであっても直接食器に口をつけてはダメだよ」

たしかに器を持って食べるのは和食ぐらいですよね。ところでよく言われる“中華は知り合いになると美味しいものが食べられる”って本当ですか?

「あたりまえだろう! そんなの中華に限らないよ。考えてごらんよ、初めてきた客と何度も通ってきている客を区別するのは当然でしょ。味の好みもわかっているし。大事なのは区別していることがわからないようにすることだけどね」

そしてオーダーのとっておきのテクニックとは?

そうですね。とはいえ、初めてでも出来る限りおいしく、しかも安く食べたいですよ。

「しょうがないな。高級店でもリーズナブルに済ますなら“鶏肉、豆腐、野菜、魚、前菜”を頼みなさい。原価が安いからね」

おお! 店員にバカにされないですか?

「例えば野菜を頼むときは“今の季節の旬はなんですか”と聞いてみる。魚でもちょっと変わった料理法のもの、地元の人が好んで食べるものをオーダーしてみる。そうすると店側は“やるな、この客”と思うよ」

了解です! 最後に美味しい店はどうやって選べばいいですか?

「結局ね、中華って出来るだけ多い量で作ったほうがおいしいのよ。だから最近流行の小さい皿で少しずつ出てくる店よりも、ドンと出せる器量のある店を選んだらいいよ。中国のローカルな料理をメニューに載せている店も期待できるね。中国料理は高い技術があって奥が深いから、ぜひいろいろトライして好きになってほしいな」

ありがとうございました! 菊地さん、これだけ頼んでふたりで5881円ですよ。練習にはぴったりでしたね。

いかがですか、みなさん。さあ、中華へ!

 

 

1965年東京生まれ。ぴあ株式会社グルメ統括プロデューサー兼『東京最高のレストラン』編集長。主な編集作に『いまどき真っ当な料理店』(田中康夫)、『一食入魂』(小山薫堂)、『宮部みゆきの江戸レシピ』、『行列レストランのまかないレシピ』(森脇慶子)など。2001年にプロによる完全実名評価本「東京最高のレストラン」を創刊。