<地域No.1店舗の売れる秘訣・ヨドバシカメラマルチメディア京急上大岡>地域密着型の駅前店を目指す リピーターの確保で成長

2014.8.6 10:56配信

ヨドバシカメラマルチメディア京急上大岡は、いわゆる一般の駅前店とは異なる顔をもつ家電量販店だ。京浜急行・上大岡駅に直結する京急百貨店に出店し、主婦や高齢者など、地元住民をがっちり確保。駅前立地を生かしながら地域密着型に徹し、他店には真似のできない取り組みによってリピーター率を高めている。(取材・文/佐相彰彦)

ヨドバシカメラマルチメディア京急上大岡

店舗データ

住所 神奈川県横浜市港南区上大岡西1-6-1

オープン日 1999年6月

売り場面積 約2800m2

従業員数 約120人

●珍しい百貨店内の店舗 15年の歴史で地域住民に浸透

横浜市の海沿いを走る京浜急行線と横浜市営地下鉄で、1日平均約20万人が利用する上大岡駅。横浜市南部で最大のバスターミナルでもあり、駅のある港南区をはじめ、近隣の磯子区や南区などから駅を利用する人も多い。中区から鎌倉市につながる県道21号横浜鎌倉線が駅前を通り、クルマの便もいい。駅周辺は富士ショッピングセンターやmiokaなどの複合商業施設が充実し、港南区民文化センターなどの公共施設もあって、非常に利便性が高い地区だ。

そのなかで、住民がよく利用するのが京急百貨店。京急電鉄グループ唯一の百貨店として1996年にオープンし、いまでは上大岡の顔になっている。その京急百貨店内に家電量販店としてテナント出店しているのが、ヨドバシカメラのマルチメディア京急上大岡だ。

大型店舗の多いヨドバシカメラにとっては、百貨店内という珍しい出店形態で1999年6月にオープン。売り場面積は約2800m2と、ヨドバシカメラのなかでは小さめだが、これまで百貨店の来店者を着実にお客様として獲得してきた。主要顧客は主婦や高齢者。藤原一大店長は、「当社の店舗のなかでは珍しい顧客層だ」という。

2010年5月には、ヤマダ電機が大規模都市型店舗のLABI上大岡をショッピングセンターのmioka内にオープン。売り場面積は約7800m2と、マルチメディア京急上大岡の3倍近くの規模だが、藤原店長は「競合店とは考えていないし、競合しているのであれば、決して負けているとは思っていない」と、マルチメディア京急上大岡の独自性をアピール。15年の歴史によって、地域にブランドを定着させてきた自信がうかがえる。

●カタログによる商品説明 売れ筋は白物家電

マルチメディア京急上大岡が地域に定着しているのは、もちろん歴史があることだけが理由ではない。「お客様が理解するわかりやすい機能説明を徹底的に行っている」(藤原店長)のだ。

例えば、メーカー制作のカタログについて、「カタログに記載してあるのは、メーカーがアピールしたい機能。しかし、文章で書いてあるだけでは、お客様に伝わりにくい。そこでカタログを使いながら、お客様の生活シーンと合わせて、実際に商品を操作しながら説明している」という。他店では、カタログの機能説明がわかりにくいということで、スタッフがまったく別の切り口から説明するケースがあるが、マルチメディア京急上大岡では、「カタログを持ち帰るお客様が多いので、ご自宅でカタログを開けばスタッフが説明した内容を思い出していただけると考えた」という。こうした親切な接客が、主婦や高齢者の心をつかんだ。そして、何度も足を運ぶリピーターになっていったのだ。

さらに、フロアマップを見ているお客様には、スタッフが必ず声をかける。京急百貨店の1階に小さな携帯電話コーナーを設置し、8~9階が主要な売り場のマルチメディア京急上大岡は、エスカレータの横にフロアマップがある。他店に比べれば狭い店舗だが、「1フロアあたり約1400m2というのは、お客様にとっては広い。フロアマップを見ているということは、当店に初めていらっしゃった可能性がある」(藤原店長)からだ。お客様に安心感を与えるだけでなく、コーナーまで案内する間に、スタッフが接客できるというメリットがある。

売れ筋商品は、駅前店では珍しく白物家電。主婦や高齢者が主要客層という状況を、如実に物語る。「最近は、とくに掃除機が売れている。手軽に掃除ができるモデルの人気が高い」(藤原店長)とのことだ。掃除機コーナーでは形状ごとのコーナーを設けて、一般的なキャニスター型モデルに加えて、スティック型モデルの品揃えを拡充した。これによって、「掃除機の品揃えは抜群という評価をいただいている」と、藤原店長は自信をみせる。

京急百貨店に来店した主婦や高齢者が、マルチメディア京急上大岡に立ち寄るというサイクルができており、「常連の方々は、電池や掃除機の紙パック、換気扇のフィルターなどを購入される」ことから、消耗品は常に充実している。また、最近では1階の携帯電話コーナーで提供しているデジタルプリントサービスで学生もお客様として獲得している。他店とは一線を画す接客と品揃えによって、地域No.1の地位を確立している。

●店長が語る人気の理由――藤原一大 店長

本社で仕入れ関連業務を担当し、マルチメディア吉祥寺の立ち上げに参画。5年ほど前にマルチメディア京急上大岡の店長として就任した。赴任後、1年しないうちに、目の前にヤマダ電機LABI上大岡がオープンした。売り場面積では負けるが、「お客様に適した売り場づくりを徹底的に行った」(藤原店長)ことによって、リピーターが増えるようになった。

スタッフは20代が多く、商品知識の習得は道半ば。だからこそ、「私自身もわかりやすく商品説明をするために勉強している。それがスタッフに伝わり、ひいては全体の接客レベルの向上につながっている」という。こうした毎日の努力があって、今も成長を続けている。

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2014年7月28日付 vol.1540より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは

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