SF漫画の金字塔、松本零士作の『銀河鉄道999』が、40周年を迎える今年、初の音楽劇となって登場する。主人公の少年・星野鉄郎が謎の美女メーテルとともに999号に乗り込んで宇宙の星々をめぐり、さまざまな出会いとともに成長していく物語で、舞台版は、劇場アニメ第1作(1979年公開)をベースに新たなシーンを加えたオリジナル・ストーリーとなっている。

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3月末に行われた制作発表記者会見には、鉄郎を演じる中川晃教や、鉄郎が憧れるキャプテン・ハーロック役の平方元基などのメインキャストが勢揃いし、舞台にかける意気込みを熱く表明。その顔ぶれの中に、新境地に一歩踏み出した気になるふたりがいた。メーテル役に大抜擢されたハルカと、“機械化人”の歌手リューズ役を担う矢沢洋子だ。

「チームの中に矢沢さんがいてくれて本当に心強いです!」(ハルカ)
「私のほうこそ、バンドをやって歌っている人間が私のほかにもいた!と嬉しくて」(矢沢)

ふたりともに歌手としてインディーズ時代から人気を博し、ライブハウスで活躍してきた歌姫である。演技経験は、ハルカは一昨年にストレートプレイの初舞台を踏んだばかりで、矢沢は映画出演を経ての本作が初舞台。似た境遇のふたりの絆はすでに固く、制作発表を経て「稽古に向けて気合いが入りました」と微笑みあう。

「自分に何ができるのか、わからないなりに一生懸命やるしかないという心境です。鉄郎役の中川さんは、実際には年上の先輩。16歳の少年となる中川さんと向き合うためには、私は母親くらいの気持ちになってメーテルとして立たなければいけないなと。それでいて、女性としての魅力を感じさせる瞬間もあるので、本当に難しい役ですね。物語が進むにつれてメーテルの気持ちは変化していき、人間的な優しさが生まれるようになります。そういった部分を繊細に見せていけたらと思っています」(ハルカ)
「30代の今、このような素晴らしい作品に出会えたことが光栄ですし、だからこそ全力で頑張りたい。これから違う世界が広がっていくことがとても楽しみです。リューズは機械の体を持ちながらも、人間臭さが漂う不思議な役です。鉄郎やメーテルの敵側なのに、最終的には手助けしてしまう。その矛盾や葛藤をうまく表現していきたいですね」(矢沢)

台本を読んだ感想は「いったいどうやって表現するの!?と思う部分がいっぱい」(ハルカ)、「照明さん、どうやるの!?と余計な心配をしたり(笑)」(矢沢)と興奮しきり。クリエイティブ・スタッフの総力で立ち上がる銀河空間にも期待がかかる。そのステージで、ふたりの歌姫が女優となって新たな花を咲かせる瞬間が楽しみだ。

公演は6月23日(土)から30日(土)まで東京・明治座にて。その後、7月21日(土)・22日(日)に福岡・北九州芸術劇場大ホール、7月25日(水)から29日(日)大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演される。

取材・文:上野紀子