【酒場】リア充は敵!中野の裏路地バー「立呑み泡AWA」

せんべろ酒場では遭遇しないちゃんとしたバーテンダーがいる東京・中野の隙間路地バーを訪れました。


千円でべろべーろになれるせんべろ酒場を求め、今宵やって来たのは中野駅。
基本的に横丁好きだ。それより好きなのは小路だ。
それよりもっと好きなのは見つけてくれるなといわんばかりの、隙間路地だ。
「立呑み泡AWA」は、まさに野良猫とここに来る客以外誰も通らない
最高に素敵に寂れた裏路地にあった。

外の黒板を見るとハイボールが280円で飲めるらしい。
木目調で薄暗い店内をそうっと覗くと三坪くらいのスペースがすでにうまっている。
言っておくが日曜日の夕方五時だ。中野の住民の時間割はどうなってる。
通りすぎようとしたら、どこでどんなセンサーが反応したのか
店の奥ぅ~のほうから「どうぞどうぞ」とジェスチャーで手招きする男。

 

白シャツにチョッキにオールバックの若そうなバーテンである。
スイマセンお邪魔しますと人をかきわけ、
通されたのは一段高い、階段踊り場の樽テーブル席。
イチゲンのくせして、皆を見下ろすポジションなのが落ち着かない。
おまけにピンライトが無駄にきらきら私を照らし、ぼっち呑み(一人呑み)が
浮き彫りになる格好だ。

まずは生ビールとおすすめと黒板にあった300円の鴨を頼む。
鴨には相当驚いたカモ!などとダジャレも言いたくなるほどテンションが上がる、
デカさと肉厚の食感と香ばしさ。ワンダフォーである。
カウンターの棚には「復刻版角」から「角」「白角」「黒角」「ホワイト」「レッド」…、
そしてブラックニッカまでほとんど280円でずらりと並んでいる。

 

まさに庶民のせんべろバーだ。
じつは角ハイかトリス(新しいほうの)ハイしか馴染みがない。
あんまり珍しそうにしていたのか、カウンターが空いたタイミングで
「よろしければこちらへ」と呼んでくれた。

ババ君と呼ばれる彼は、よくしゃべる。よくしゃべるが手もよく動く。
まるで神経衰弱に一人で挑んでいるかのように、いくつものカップを並べ、
氷を入れマドラーでかき混ぜ、解けた氷水をいったん捨て、それぞれのウイスキーを
入れてまた混ぜ、ウイルキンソンの炭酸を入れ、レモンピールをにゅにゅっとつねって
投入する。うつくしい。そして二杯目に頼んだ黒角ハイボールも最高に旨かった。
基本、せんべろ酒場では遭遇しないちゃんとしたバーテンダーだ。
そして。なぜかここのハイボールは基本湯のみで出てくる。


ババ君に聞くと、「人間は口にあたるものが分厚いほうが甘みを感じやすいので、
白角以外のウイスキーは湯のみで出すんです」とか。
ほほお。さらに私にはアメリカ人で酒豪の義兄がいるのだが、
彼が大好きな「ノブクリーク」という珍しいウイスキーまで(こちらはやや値が張る)
あるのに、急に親近感が湧いた。「それはかなりツウのお兄様ですよ」とババ君が言うので、
ふだん仲が悪い義兄だがちょっと誇らしくなった。

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