ピエール・ニネ

ハイファッションの創始者と呼ばれ、今なお影響を与え続ける天才デザイナー、イヴ・サンローランの半生を映し出す『イヴ・サンローラン』。ブランド初公認の本格伝記映画となった本作で、サンローランその人を完璧に演じてスターの座に躍り出たピエール・ニネが初来日し、会見を行った。

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本国フランスで、アカデミー賞ノミネート関連の作品と同時期公開になりながらも、初登場1位に輝いた同作。フランスが世界に誇るデザイナーが主人公であることもさることながら、ニネのサンローランにあまりに酷似した容姿と確かな演技力もヒットの一翼を担った。

「思いもよらないオファーでした」と口を開いたニネ。「パリで舞台のリハーサルをしていたときに、ジャリル・レスペール監督からビールを飲まないかと誘いの電話があり、この映画の話をされました。歴史に残る愛とクリエイションに関する物語を書き上げたので、君にも出て欲しい。テーマはイヴ・サンローランだと言われ、僕は誰を演じるのか訊ねると、イヴ・サンローランだと(笑)。答えはもちろんイエスでした」。ニネはサンローランの仕草や声質の研究、デッサンの練習やファッションに関する知識全般など、クランクイン前に5ヶ月半もの準備期間を設けた。

そして「彼のダークな面も赤裸々に描いている」という本作を、「彼は非常に頭がよく、時代を先取りし、鋭い感受性を持っていたゆえに痛みを抱えていました。しかしそうした痛みを最終的に芸術に昇華し、傑作を生み出すことができたという前向きなメッセージが込められています」とPR。

また本編には財団所有のアーカイブ衣装が登場。ニネも「現場にモンドリアン・ドレスが運び込まれてきた日のことをよく覚えています。間近で見たモンドリアン・ドレスは美しく、インパクトがあり、ポップで時代を経てもまさに今風で素晴らしいものでした」と振り返り、「サンローランも愛し、美学が確立している日本のみなさんに、この作品をぜひ観ていただきたいと思っています」とメッセージを送った。

『イヴ・サンローラン』
9月6日(土)角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネマライズ他全国ロードショー

取材・文・写真:望月ふみ