明日海りお  撮影:奥村達也 明日海りお  撮影:奥村達也

宝塚歌劇を代表する人気ミュージカル『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』が、花組新トップスター明日海りおのお披露目公演として5年ぶりに上演される。本作は、数奇な運命を辿るオーストリア皇后エリザベートと、黄泉の帝王トート=“死”との愛憎を描いた物語。明日海は2005年、2009年に続いて3度目の出演、主人公のトート役は、2009年の新人公演で演じている。今回、改めて本作と向き合い、何を感じているのか、今の心境を聞いた。

『エリザベート』 チケット情報

「新人公演で演じた時は覚える量も多かったですし、とにかくトートとして歌うこと、楽曲をマスターすること、しっかりと役を演じることに精一杯でした。今回は、先生からもたくさんヒントをいただいていまして、とてつもなく冷たい表情をしてみるところからフッと笑ってみたり、音もなく動いていたかと思いきや、グッと鋭い目つきで振り返る瞬間があったり、表情や動きに緩急をつけて演じることで、私なりの独特の表現を散りばめていきたいと思っています」

世界中で人気を集める本作。改めてその魅力について尋ねると「やはり音楽の力が大きいと思います。曲を聴いた瞬間に、世界がぶわっ!と広がる。一気にその世界に引き込まれる感覚が凄まじいですね」と語る。特に印象的な楽曲については「暗い題名なんですけど(笑)、教会で歌う『不幸の始まり』という楽曲です。トートと結婚式の参列者との掛け合いの曲で、ほとんど和音で構成されています。それが教会のパイプオルガンのように聞こえて、演じていてもとてもゾクゾクします」

お披露目公演でもある本作。トップとして、どんなリーダー像を描いているのだろうか。「蘭寿(とむ)さんは普段はとても温かくて気さくで、でも芸事は誰よりも熱心で…。その姿を見てきたので、影響している部分があると思います。今まで見てきたトップさんの良いところ全てを持てたらいいですね(笑)。私は、気軽に話しかけてもらえるような親しみやすさは持っていたいと思います。話しかけてもらえれば繋がりも深まって、舞台にも良い影響が出ると思うので。でもお稽古や舞台のときには、私が100%没頭することで、周りの人たちをその世界に引き込みたいですね」

公演は兵庫・宝塚大劇場にて8月22日(金)から9月22日(月)まで。東京宝塚劇場では10月11日(土)から11月16日(日)まで上演される。東京公演は9月7日(日)より一般発売を開始。

取材・文:黒石悦子