「Xperia Ear Duo」のデュアルリスニングを試した

ヘッドホン・イヤホンのヘビーユーザーであれば、人に話しかけられたり、話しかけたりするとき、いちいち端末を耳から取り外すのを煩わしく感じたことが一度はあるはずだ。とくに左右独立型の完全ワイヤレスイヤホンを使用していると、外したときのやり場に困る。ケーブルがあれば首にかけていられるが、ケーブルレスだとそうはいかない。そんな悩みを解決してくれるのが、ソニーモバイルが4月に発売した「Xperia Ear Duo」だ。端末と外部からの音を両方とも聞き取るデュアルリスニングという新しいスタイルを、1日中つけっぱなしにすることで試してみた。

朝7時、起床。充電していたイヤホンを耳に装着する。Xperia Ear Duoは耳の下に装着するユニークな設計。耳にずっしりと重さを感じそうなものだが、実際はその逆。慣れると付けていることを忘れるほど軽い。中央に穴が空いた独特の形状のイヤーチップは耳穴の浅い部分に被せるように装着するので、圧迫感はない。

通勤時はスマホからラジオアプリ「radiko」でニュースを聞きながら。離れた場所にある外部スピーカーから流れているBGMのように耳に届くので、デュアルリスニングはラジオと相性がよい。イヤホンで耳をふさいでいると後ろから車や自転車がきたときに気がつかないことも多いが、これなら小さな音でも常に認識でき、不注意も減りそうだ。

Xperia Ear Duoには「アクティブボリュームコントロール」という周囲の音に合わせて自動で音量を調整する機能が備わっている。効果を実感したのは、ホームで電車を待っているとき。通過電車が轟音とともに通り過ぎると、再生音はグッとボリュームを上げる。そして、静かになると、また元の音量にレベルが下がる。

また、電車に乗っているときは車内アナウンスを聞き逃さない。記者の下車駅は各停電車以外は、音楽を聴いているとうっかり乗り換えを忘れてしまうことがある。Xperia Ear Duoはとくに意識することなく、アナウンスが耳に飛び込んでくる。

今回は「1日中つけっぱなし」という縛りなので、もちろん社内でもイヤホンを外さない。デスクに座っていると電話がなったり、誰かに話しかけられたりということがしょっちゅうだが、Xperia Ear Duoで音楽を聴いている状態からでも、すぐに反応できる。

仕事中はイヤホンのタッチパッドで操作するのも面倒だが、そんなときはヘッドジェスチャーが便利だ。これは首を上下左右に振ることで、電話の応答や曲送りができる機能で、作業しながらでもハンズフリーでコントロールができる。

人前で首を上下左右に動かすのは目立って恥ずかしいのではないかと思ったが、そんなに大きく動かす必要はない。最初、記者も勘違いしていたのだが、コントロールは特定の方向を向いた瞬間ではなく、そこから元の位置に戻した瞬間にアクティブになる。曲送りがしたいなら、ちょこっと右に首を傾けて、元の位置に戻せばよい。コツをつかめば誤作動することなく、誰でもつかいこなせるはずだ。

最後に紹介したいのが、音声アシスタントとの連携機能だ。AndroidであればGoogleアシスタント、Assistant for Xperia、Cloverに、iOSであればSiriに対応する。起動は本体右のタッチパッドを1秒長押しするだけ。「天気を教えて」「アラームをかけて」といったい指示を声で出すことができる。

正直、記者はスマホ単体ではアシスタント機能はあまり使わない。自分で検索したり、設定したりするほうが早く感じるからだ。しかし、耳に装着したイヤホンを間に挟むと、使い方に実用性が出てくる。朝、歯磨きをしているとき、皿洗いをしているときなど、手が離せない状況のなか音声アシスタントで情報を収集したり、スケジュールを確認したりできる。

Android OS限定の機能にはなるが、LINEの音声アシスタント「Clover」と連携すれば、事前に登録した連絡先に、音声でLINEのメッセージを相手に送付することも可能だ。

結論として、Xperia Ear Duoを1日中装着しておくと、これまでのイヤホンのように音楽を聞くだけではない、スマホとリンクしているメリットを最大限に生かした使い方ができるようになる。装着感や見た目は、極めて自然であることも長時間装着する上でポイントは高い。1日つけっぱなしを完了して気がついたが、バッテリのもちも相当なものだ。連続再生時間は4時間だが、待受時間は22時間。腕時計のようにイヤホンを常時装着する、そんな未来を予感させた。(BCN・大蔵 大輔)