NASAとJAXAの大規模な共同イベント『宇宙博2014』や宇宙ミュージアム『TeNQ』のオープン、アニメ映画『宇宙兄弟#0』の公開など、宇宙をテーマに盛り上がりをみせているこの夏。アートシーンでも宇宙をテーマとした展覧会が開催されています。

東京都現代美術館で開催されている『ミッション[宇宙×芸術]―コスモロジーを超えて』。民間での宇宙旅行も実現という動きもあり、私たちをとりまく「宇宙」はますます身近なものになりました。

研究開発の進むリアルな宇宙と、アーティストが表現するイマジネーションの内的宇宙。展示物は、アートインスタレーションだけでなく、人工衛星やロケットの部品(フェアリング)などの宇宙領域資料、宇宙にかかわる文学、マンガやアニメーションなどのエンターテインメント領域、そして参加体験型作品とさまざま。

元々宇宙に興味がある人には新しい宇宙の見方の発見が、宇宙に詳しくない人でも多彩な展示に触れることで、宇宙を面白く感じることのできる展覧会となっています。

 

入り口にある、SF映画に出てくるような可愛らしい見た目の技術試験衛星Ⅰ型「きく1号」。これは、実際に1975年に打ち上げられたものと同じタイプのもので、実験用として使われ保管されていたもの。それを間近に見ることができるなんて貴重! 

 

 

最初の部屋では、古代から現在に至るまでの“宇宙芸術”を年表に起こした「 [宇宙×芸術]クロニクル」を見ることができます。ピラミッドやナスカの地上絵などは、宇宙芸術と言われると確かにそうですよね。

 

アメリカ航空宇宙局(NASA) ポートフォリオ《NASA「宇宙の旅-25年の歴史」》1961-1984年 東京都写真美術館蔵

そして同じ部屋の壁に貼られているのがNASA(アメリカ宇宙航空局)のアーカイヴから「写真としての美」を基準として選んだポートフォリオ。地球上と違って空気がないので、これほど鮮明に写るのだとか。

青い美しい地球をバックに浮遊する風景や、鏡のような宇宙服のマスクにもう一人の宇宙飛行士が映り込んでいたりと、宇宙に行った彼らにしか撮影できない写真たち。宇宙に飛び立つことを夢見てきた宇宙飛行士たちは、芸術的なロマンチストも多いのかもしれません。

 

アタナシウス・キルヒャー「光と影の大いなる術・第二版」1971年・東京都写真美術館蔵

また、中世の天文学の書物も展示。昔の人って、真面目な天文学の書物なのに月や太陽のモチーフに目や口といった表情を描き込んでいて面白いです。