こみっくがーるず(赤尾ひかる、本渡楓、大西沙織、高橋李依)『涙はみせない』(『こみっくがーるず』ED)

女子高生漫画家たちの日常を描く"きらら系アニメ"のエンディングを飾るキャラクターソング。

同系列の諸作品で使用された主題歌に比べると、ユッタリとしたテンポの楽曲であり、その落ち着いた雰囲気が曲の特徴を決定付けています。

"美メロ"を軸とした洗練されたポップソング……という形容が最もシックリくる曲かと思いますが、そこに青々とした輝きを与えているのが、声優陣による歌声。登場人物のキャラクターと声質に寄せた歌は、オシャレなバックトラックに人間的な温かみを加えると同時に、青春アンセムとしての個性を楽曲に付与しています。

特に印象的なのが、物語のキーパーソンとなる萌田薫子を演じる赤尾ひかるさんの声。今作が主役デビューとなる赤尾さんですが、若手の実力派として知られる共演者に囲まれながらもアニメ本編での活躍と同様に、初々しくもシッカリと自身の存在感を発揮しています。

完成度の高いメロディとキャラクターの魅力を体現した声優陣の歌声。まさに、"キャラソン"の理想形のひとつと言えるでしょう。こちらも落ち着いた色彩と演出で見せるエンディングアニメーションもお見事。

福本莉子『少女はあの空を渡る』(『ひそねとまそたん』OP)

オーケストラを用いたスケールの大きなサウンドで、この春に衝撃を与えてくれたアニソンが『ひそねとまそたん』オープニング主題歌の『少女はあの空を渡る』です。

東宝「シンデレラ」オーディションでグランプリを受賞した福本莉子さんをボーカリストに抜擢しており、その純朴な歌声と勇壮な伴奏の組み合わせがどこかノスタルジックで、どこか不思議なニュアンスをリスナーに抱かせます。

ピュアな歌、本作のサウンドトラックも手掛ける岩崎太整さんによるメロディ、そして、オーケストラサウンドによる豪華で広がりのある演奏……それらが、一体となって作り出される音世界は、とてつもなく感動的であり、細かい理屈や理論を抜きにして涙腺を刺激するような情動を携えています。

また、オープニングアニメーションも一昔前のアニメ作品のそれを思い起こさせるような演出の数々によって構成されており、音と合わせて観る者の郷愁を誘う作りに。

バンドサウンドでもなく、打ち込みサウンドでもない。良い意味で「今風ではないアニソン」であり、だからこそ、新鮮な感覚で歌と映像と対峙できる……新しさと懐かしさが混在する1曲です。

エンディングでは、こちらも岩崎さんのプロデュースでフランス・ギャルのカヴァー曲を使用するなど、その作品性同様に音楽面も一筋縄ではいかない印象を受ける『ひそねとまそたん』。最終回まで、一時も物語と音から目を離せそうにありません。