スマートホームやスマートシティの盛り上がりを反映して、「COMPUTEX 2018」では実用性のあるロボットが多く展示されていた

6月5日~9日に台湾・台北で開催されているコンピュータ関連の国際見本市「COMPUTEX TAIPEI 2018」では、日常生活に入り込んで生活や業務をアシストするロボットが数多く展示されていた。かつては物珍しさから注目を浴びていたが、AI(人工知能)やセンサー技術の進化で実用性を伴った段階へと変貌を遂げつつある。

まずは、どこかで見たことがあるような白いフォルムの人型ロボット。「Ayuda(アユダ)」という名前で凌群電腦が開発している。頭部にカメラ、胸部にタブレットがあるのはソフトバンクロボティクスの「Pepper」と同じ。背はやや高く、顔のデザインはより人に近い。

ソフトバンクショップから広がった「Pepper」は現在は幅広い店舗やイベントでお目にかかるが、「Ayuda」も目的に合わせてチューンアップしたソフトウェアを搭載し、さまざまな場所での利用を前提にしている。

展示されていたAyudaは警備用・救護用・金融業務用と細分化されており、スマートシティの実現を担うロボットとして期待されているとのことだった。アナログではあるが、業務に必要な小物を収納したウエストポーチを巻き、ユーザーがすぐ取り出せるよう工夫もされていた。

日本語にも対応しているとのことだったが、「日本語は話せるの?」と声をかけると「冗談です!」という反応が……。本当に理解しているのかは怪しいところだが、こうした対人ロボットは今後ますます登場してきそうだ。

農業用のロボットとして興味深かったのは、台湾のFBTUGが展示していた「FarmBot」だ。工場で栽培する農作物のソリューションは数多くあるが、FarmBotは特別な設備のない農地を対象にしている点が特殊だ。仕組みとしては、農地の上をアーム型のロボットが動き回り、温度・湿度などを感知。状況に応じて水や肥料を供給するというものだ。

ユニークなのは地面に小さな穴を空けて種植えができたり、画像認識技術で雑草を見つけ出し除去したりする機能を備えることだ。現在は実際の農地で実証実験を進めている段階だという。

初登場は2016年のCOMPUTEXのASUSの家庭用ロボット「Zenbo(ゼンボ)」。これまで高齢者の見守りや子どもの知育が主だった機能だったが、今回の売りはスマートホーム連携。COMPUTEX 2018ではスマートホーム関連の展示も盛り上がっており、ようやくその真価を発揮できる環境が整いつつあるようだ。11月に中国で、年始にアメリカで発売を開始しており、日本での発売も待ち望まれる。

実用性という意味では該当しないかもしれないが、会場内ではチェスロボットとゲームで対戦できるスペースも設けられていた。

今回の展示会では、単体で市場拡大に苦戦していたロボットだが、スマートホーム/シティがそのあと押しをしている状況がよくみてとれた。今後は両輪で生活に入り込んでいきそうだ。(BCN・大蔵 大輔)