『イントゥ・ザ・ストーム』を手がけたスティーブン・クォーレ監督

巨大竜巻の脅威を圧倒的なスケールで描いた映画『イントゥ・ザ・ストーム』が間もなく公開になる。史上最大級の竜巻を“体感”できる作品だが、監督を務めたスティーブン・クォーレは本作を単なるパニック映画にはしたくなかったようだ。国際電話で監督に話を聞いた。

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本作は、アメリカ中西部の田舎町シルバートンに、想像を絶する巨大な竜巻が発生し、街を飲み込んでいく様と、そこに居合わせた人々の極限のドラマを描くものでクォーレ監督はまず竜巻について入念にリサーチを重ねたという。「YouTubeにアップロードされていた本物の竜巻を撮影したビデオを見たりしながらね。その中には美しさと恐ろしさを同時に感じさせるような、凄まじい竜巻を映したものがあったから、大袈裟な竜巻を作る必要はないと思ったんだ」。

加えて監督は最初から「迫力を見せるだけではまったく意味がないと思っていた」と振り返る。「近年のデジタル技術ではいろんなことが可能だから、何かを破壊するだけでは観客を驚かせることは不可能さ」。そこで監督はこの映画を”一人称”で描くことにこだわった。劇中では登場人物たちがカメラを構えて、自身の視点から迫り来る竜巻の脅威を捉えていく。「今では誰もがカメラ付きの携帯電話を持っているから、いつでもどこでも映像を記録することが出来る。だからいろんなカメラを通して一人称で語るという方法は、今日の僕らが生きている世界を反映させているんだ。もちろんこの映画にも映画的なシーンはたくさんあるけれど、カメラは人の目線にあってリアリティを生み出しているんだ」。

映画館ではそこに立体的な音響が加わる。風が迫る音、物が吹き飛ばされる音が四方八方から飛んで来て観客を竜巻の中に放り込むのだ。「音響編集を担当したパー・ハルバーグは音の天才で、『ブラックホーク・ダウン』『グラディエーター』そして『007 スカイフォール』でアカデミー賞を受賞している。僕らはリアルで恐ろしい音を生み出せるように努めたし、そこには大きな自信を持っているよ。この映画こそ最高の設備のある大きなシアターで観るべき映画さ。家庭用のテレビやiPadではあの音は体験出来ないからね」。

人間の視点から描かれた緊迫感あふれる映像が大スクリーンに映し出され、様々な音が四方を囲む時、映画館に”竜巻そのもの”が出現し、観客は劇中のキャラクターと共に自然の脅威に立ち向かうことになる。「僕がこの映画がとりわけ好きな理由は、観客がキャラクターに共感出来るパニック映画を作ることが出来たことなんだ。心を突き動かすような作品を生み出せるということは本当に幸せなことだよ」。

『イントゥ・ザ・ストーム』
8月22日(金) 全国ロードショー