そうですね。そう言ってもらえて嬉しい反面、その「やっぱね」を超えなきゃいけないっていう気持ちもあるんです。自分にピッタリ過ぎる役で、“できて当然”の立ち位置にいるから、“それを超えなきゃ”って!

ーー“自分に近ければ近いほど、演じるのが難しい”“岸谷五朗さんが描くコルリを超えたい”と前回の舞台のときにも言われてましたよね(第45回)。

そうです! そうですね。

ーーひょっとしたら、今度は“原作のキャラクターを超えなきゃいけない”っていう思いが佐江ちゃんの中にある?

はい! 超えなきゃいけない!

先日、漫画を描いてくださっている先生との対談があったんです。今度のミュージカルでは単行本の1巻から5巻までが描かれているんですが、漫画でそのお話を作るのに、先生は何年もの時間をかけて描いてくださってるんです。

その原作が正味2時間ぐらいの舞台で、どんなふうに仕上がるんだろうって、先生が台本を見てくださったんです。そうしたら“大変で難しいと思います”って、ずっと言われてて。。。 “う、うわゎーー。どうしよう……”って、思ったんです。

でも逆に、先生のその言葉を聞いて、火がついたというか! 先生に初日を見ていただいたときには、先生の想像を超えて“ウワーーー”って思っていただきたいな、って思ってるんです。

ーー佐江ちゃんは、挑戦する壁が高ければ高いほど、困難であればあるほど、燃えるタイプですもんね。

はい! 悔いは残したくないので、ガ・ン・バ・リ・ますっ!

ーー舞台のお稽古など、ハードスケジュールの毎日が続くと思いますが、いつも応援していますよ。それでは今回はここまでとしましょうか。ありがとうございました。

ありがとうございました!!!  先日は髪を短く切ったりして、ちょっとずつミュージカルに向けて準備もしています。またそんなお話も皆さんにお伝えできたらと思っています。それでは皆さん、残り少ない8月を楽しみましょうね。次回もお楽しみに! 谢谢大家!(皆さん、ありがとう!)

 

 

【今回のまとめ】
◎中国入門ポイント
女性に学問は必要とされていなかった昔、祝英台は男装をして杭州に遊学しました。そこで出会ったのが梁山伯梁山伯祝英台が女性と知らぬまま親友となり、祝英台も密かに彼への思いを募らせます。2人は親友として、彼女が故郷へ戻るまでの3年間、共に学び舎で過ごします。

その後、祝英台を訪ね故郷に赴く梁山伯。そこで初めて、彼女が女性であることに気づきます。彼女に対する深い情が愛であることにも…。しかし時すでに遅く、祝英台には親が強引に定めた婚約者がいました。二人の仲は引き裂かれ、嘆き悲しんだ梁山伯は病死。

それを聞いた祝英台は三日三晩泣き明かし、嫁入りの日は必ず梁山伯の墓前を通ることを条件に結婚を承諾。当日、墓前に着いた祝英台は墓に取りすがり、激しく泣きはじめました。すると突然空は真っ暗になり、雷鳴が轟き、突風が吹き荒れたかと思うと、梁山伯の墓が真っ二つに割れたのです。

その裂け目に飛び込んだ祝英台。すると墓は裂け目を閉じてしまい、再び開くことはありませんでした。その後、墓から美しい2匹の蝶が舞い上がりました。仲良くもつれ合いながら、ひらひらと天に昇っていきました。

◎今回のフレーズ&単語
梁山伯与祝英台【Liáng Shānbó yǔ Zhù Yīngtái】中国に伝わる悲恋物語『梁山伯と祝英台』。七夕の織り姫と彦星の伝説などと並び、人々に広く愛されている

*本文中の赤字は、中国語です。
*)中国語の表記は、上海(大陸)で使われている簡体字を使用しています。また【 】内には、中国語の発音表記として漢語拼音(ピンイン)を記しています。

撮影:山田大輔 スタイリング:山本隆司 ヘア&メイク:JULLY

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