カンパニー・フィリップ・ジャンティ『忘れな草』 (C)Claire Marie Leroux カンパニー・フィリップ・ジャンティ『忘れな草』 (C)Claire Marie Leroux

創立41年を迎えたカンパニー・フィリップ・ジャンティ(CPG)が舞台『忘れな草』で、この秋13回目の来日を果たす。ダンス、マイム、人形、映像が溶け合う舞台は、まるで不思議な世界を飛び回る魔法のじゅうたん。愉快な仕掛けに歓声をあげ、神秘的な効果に息をのみ……次は何が出てくるか、予想もつかない。観客をわくわくさせるステージは、国境を超えて愛されている。

カンパニー・フィリップ・ジャンティ『忘れな草』チケット情報

『忘れな草』の幕が開いたら、雪の中で思い出をさがす男とともに、異次元の旅に出かけよう。ステージで弾むのは、初来日のノルウェーの若いパフォーマーたち。力強いダンスと歌を披露する彼ら各人が、自分とそっくりの人形と共演するシーンは、まばたきを忘れさせる。どっちが人で、どっちが人形?! また、人間と同じ身長の「猿」がドレスを着て登場するが、コミカルな「彼女」は笑いを誘いながら、ほろ苦い気持ちも呼び起こす。

今回の作品に流れるテーマのひとつが、女性の成長。幼い少女、思春期、成熟した大人。これらの3段階で味わう喜びや恐れが、パフォーマーとオブジェによって細やかに描かれる。目も耳も喜ばす舞台は、綺麗なだけではなく、心の奥に潜むさまざまな欲望も映しだす。人間のダークサイドを面白い表現に料理する手腕も、フィリップ・ジャンティならではの魅力なのだ。

カンパニー・フィリップ・ジャンティ『忘れな草』東京公演は、10月16日(木)から26日(日)までPARCO劇場、11月19日(水)新国立劇場 中劇場にて。PARCO劇場公演はチケット発売中。新国立劇場公演は、8月28日(木)午後6時から9月4日(木)午前11時までインターネット抽選先行を受付。

文・桂 真菜(舞踊・演劇評論家)