中国各地で重要度が増しているサービス貿易の拡大を目指し、今年3月22日、山東省サービス貿易協会(SATIS)が設立された。中国の他の省と比べ、山東省はサービス貿易の分野でやや後れをとっている面があり、これから発展させていくためのエンジンとしての役割は大きい。山東省では「新旧動力の転換」と称し、新しい産業や技術を強化していく取り組みを進めているが、サービス貿易の強化もその一環だ。山東省サービス貿易協会の解永民 秘書長に協会の現状とこれからについて聞いた。

現在の会員数はおよそ100。主に企業や大学などが加入している。山東省にはサービス貿易に関連する企業がおよそ2000社あり、これらの企業をターゲットにこれから会員拡大を目指していく。

協会の主管は山東省商務庁で、事務所も商務庁内に設置。特に同庁のサービス貿易処へは協会から1名出向させるなどして密接に連携しながら、業務を進めている。主な仕事は展示会への出展、調査、統計データの収集などだ。

3月に山東省商務庁が東京で開いた「2018 中国山東省(東京)経済合作懇談会」にも協力し、山東省の魅力をアピールした。同様の懇談会を韓国でも開催した。さらに9月にはオーストラリアで文化関連の展示会に出展するなどで動いている。

山東省は中華文化の発祥地の一つともいわれ、孔子のふるさとでもあることから、海外のイベントでは、孔子にまつわる文化の紹介がひとつのコンセプトになっている。国内の展示会では、先頃北京で開かれた「第5回中国(北京)国際サービス貿易交易会」への山東省ブースに出展したのをはじめ、上海で開催される中国国際輸入博覧会にも出展する予定だ。

現在、山東省政府が「新旧動力の転換」のため、さまざまな新しい産業を発展させる試みを、協会もサービス貿易の発展という側面からも後押し。特に会員企業に対して、サービス貿易に関する政策の説明、業務指導なども行いながら発展を支えていく。さらに、会員企業から日常的に収集した情報をもとに、企業に必要な政策などを整理し、政府に対して橋渡しをする役割も担う。

日本市場に関して解秘書長は「山東省よりもはるかに大きい市場であり、今後の発展には日本からいろんな経験を学び、日本との緊密な関係が必要」としながら、「日本のさまざまな組織や団体と緊密な協力関係を結んで発展させていきたい。山東師創情報科技グループ(師創)のように日本企業のBCNと密接な連携を取りながら誘致活動を行う企業を増やしていく必要もあるだろう」と話す。

また個人的には、と前置きして「日本のアニメや漫画、IT産業、健康・医療関連、介護関連には大きな期待を寄せている」と話した。最後に「山東省は礼儀を重んじ、お客様をとても大事にする土地柄。中国の沿海部にあり、資源、電力、交通も整っている。中国3位のGDPで、今後も発展が期待できる・ぜひ山東省とのビジネスや投資を検討していただきたい」と結んだ。(BCN・道越一郎)