HTC J butterfly HTL23

HTCとKDDIが共同で開発したAndroidスマートフォン「HTC J butterfly HTL23」が8月29日に登場する。「butterfly」シリーズの前モデル「HTC J butterfly HTL21」は、auのAndroidスマートフォンに限った2013年の年間ランキングで2位を獲得。「HTC J butterfly HTL23」は、その後継機にあたる。2014年モデルはどのような進化を遂げたのか、実機をチェックした。

●Androidスマートフォンの先駆者、HTC

HTCは、台湾に本拠を置く世界的なスマートフォンメーカーだ。2008年に世界初のAndroidスマートフォン「HTC Dream(T-Mobile G1)」を発売し、09年7月には、日本初のAndroidスマートフォン「HT-03A」を発売。まさにAndroid端末の先駆者といえる。また、いまではどの機種でもあたりまえのように搭載しているテザリング機能を、日本で初めて搭載した「HTC EVO WiMAX ISW11HT」を製品化したのもHTCだ。12年12月には、日本で初めてフルHDディスプレイを搭載した「HTC J butterfly HTL21」を発売。これがauのAndroidスマートフォンで、13年の年間ランキング2位になった。

「HTC J butterfly HTL21」は、1.5GHzのクアッドコアCPUと当時最新のAndroid 4.1を搭載し、4G LTEに対応。5インチの大型高精細ディスプレイで、薄くて手にフィットするプロポーション、さらに高速起動・高速連写に対応するカメラ機能など、魅力満載のスマートフォンとして大ヒットした。その後継機が満を持しての登場となれば、いやがうえにも期待は高まる。

●撮影後にピント変更できる画期的カメラ

実際に手にした「HTC J butterfly HTL23」は、いい意味で期待を裏切ってくれるスマートフォンに進化していた。CPUは2.5GHzのクアッドコア、OSはAndroid 4.4、メインカメラは約1300万画素と、このあたりは想定内だ。

驚いたのは、メインカメラの上にある一つのレンズだ。これは被写体との距離情報、つまり奥行き情報を補足する約200万画素のデプスカメラで、二つのカメラで同時に撮影することで、写真に奥行き情報を追加する。奥行き情報をもつ写真は、撮った後で焦点の位置を変えたり、手前または奥の被写体にだけエフェクトを適用したり、画像を立体的に見せたりすることができる。

では、実際に奥行きのある写真を撮ってみよう。被写体にはある程度距離を取ると、効果がわかりやすい。逆にツーショットのように、二つの被写体にまとめて効果を加えたいときは、横並びにしておくといい。撮影時の設定は不要。いつも通り、カメラを起動して撮影する。

撮影した写真を表示して、編集ボタンからピントの合う位置を変更する「UFocus」を起動する。あとはピントを合わせる場所をタップするだけで、簡単にフォーカスを変えることができる。ホームにある柱にタップするすると、その奥のホームの端、ホームに滑り込んでくる車体などがぼやけて、柱が際立った。

次に、柱よりも後ろにある車窓のあたりをタップすると、車窓や同じ位置にあるホームの端などにピントが合うが、手前の柱や車窓よりも奥にある車体などがぼやける。ぼけの程度は、スライダーで簡単に調整できる。

「HTC J butterfly HTL23」は、現行のAndroidスマートフォンとして最高水準のカメラ性能を備えているほか、写真を3D風に加工したり、写真の深度別にさまざまなエフェクトをかけたりと奥行きを認識できる特性を活かした機能を搭載。デジタル一眼風の写真から遊び心のある写真まで、簡単、きれいに撮影できる。写真撮影を思う存分楽しみたい人に満足できるスマートフォンに仕上がっている。ぜひ一度手に取ってもらいたい。

●付属のJBLヘッドフォンは臨場感がすごい

「HTC J butterfly HTL23」は、音へのこだわりも特筆ものだ。端末を横に持ったときにちょうど左右の配置になるように、前面にステレオスピーカーを搭載。最大95dBもの迫力あるサウンドを響かせる。自宅で動画を視聴するときやゲームをプレイするときなど、ステレオスピーカーで存分に楽しむことができる。

さらにすごいのが、付属する「JBL ハイパフォーマンス インイヤー ヘッドフォン」を使って聴く音。ハイレゾ音源に対応したこのヘッドフォンを本体に装着すると、「JBL LiveStage シグナル・プロセッシング・テクノロジー」が機能して、さまざまな音源を臨場感たっぷりに再現する。例えばYou Tubeでミュージックビデオを視聴すると、まるでアーティストの生歌を聴いているような感覚だ。「音」を売りにするスマートフォンや携帯オーディオは少なくないが、サウンドの臨場感では正直トップレベルではないかと思う。iPhoneでは、ヘッドフォンを変えてもここまでの音は再現できない、というのが率直な感想だ。

●閉じたまま情報表示する便利なケース

auは、「HTC J butterfly HTL23」の発売に合わせて、豊富な専用アクセサリを用意した。専用ケースの「ドットビューケース」は、ケースのフタのドット柄を通して着信通知やメール受信を表示するすぐれもの。ドットに合わせてディスプレイを発光することで情報表示を行うとは、実にナイスアイデアだ。しかも、モーションセンサーの働きによって、フタを閉じたままで、スワイプ操作で電話に出たり、ダブルタップで不在着信を確認したりできる。

この機能を可能にしたのが、直感的なユーザーインターフェース「HTC Sense」だ。「HTC J butterfly HTL23」は最新バージョンの「HTC Sense 6」を搭載し、アプリの一括終了やクイック設定など、使いやすさがさらに向上した。本体の保護に加えて、使い勝手を高めるうえでも、「ドットビューケース」はぜひ揃えておきたいマストアイテムだ。

データのバックアップについてもよく考えられていて、楽曲やファイルをPCやMacとの間で転送・同期する「HTC Sync Manager」(ダウンロードはここから)に対応するのに加え、Google Playからダウンロードできる「HTC転送ツール」で、他社製端末からの機種変更時にもデータの移し替えが簡単にできる。その手軽さは、AndroidスマートフォンのパイオニアであるHTCだからこそできた技だろう。

カメラ、サウンド、そして使い心地、そのすべてに驚くべき進化が実感できる「HTC J butterfly HTL23」。最先端のスマートフォンの実力をぜひその手で体感してほしい。(フリーライター・榎木秋彦)

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