相手が自分を信頼しているから怒る

ところで、なぜ、先に謝ってしまうと誤解を解きやすくなるのでしょうか。それにはまず、相手が激しい言葉をぶつけて怒り出す理由を考えてみる必要があります。

相手は、あなたを信頼できる人だと考えているから、ささいな誤解が生じただけで自分が裏切られたような気分になり、怒り出すのです。

相手と自分を置き換えてみると、よく分かると思います。もし、自分が嫌な思いをしたとしても、相手がさほど親しくない相手なら、スルーしてしまうのではないでしょうか。

また、かなり腹が立った場合でも、心の距離が近いと思えない相手には、激しい言葉をぶつけることなく、そのまま連絡を絶ってしまうことのほうが多いと思います。

相手があなたに激しい言葉をぶつけるのは、あなたをことを信頼していたのに裏切られたという怒りから起こるものなんですね。だから、弁明する前に謝ってしまうほうが、あなたが誠実だということが伝わって、罪悪感が強くなり、あなたを責めにくくなります。結果、相手の怒りは収まりやすいし、信頼関係を回復しやすくなるのです。
 

相手をさほど大事に思っていないならスルーすることも大事

ただし、相手があなたに一方的に信頼を寄せている場合もありうると思います。相手との関係を大事にしたいという気持ちがないなら、無理に謝罪せず、そのままスルーして、今後の関係は成り行きまかせにするのもいいかもしれません。

謝罪という方法で歩み寄りを試みるのは、本当に大事な関係を維持したい相手だけで、じゅうぶんだと思います。特に、人に依存する傾向の強い人は、こういったトラブルが起きた時に、相手との関係がはっきり見えることも多いと思います。無理に自分を削らず、相手と距離を置くことを考えたほうがいいでしょう。

福岡県北九州市生まれ 93年から週刊誌・書籍のライターとして活動。救急医療の現場取材・社会保障問題といった社会派な記事から料理、食べ歩き、映画論評まで執筆ジャンルは様々。児童文学作品を上梓する傍ら、フードコーディネーターとしてメニュー開発なども行う。近著に「さぼちゃんのおぼうし」「うちの職場は隠れブラックかも」。ブログhttp://nomichan2001.cocolog-nifty.com/epsiloncafe/