(左から)レア・セドゥ、くまモン、クリストフ・ガンズ監督

ファンタジーの名作を実写化したフランス映画『美女と野獣』の来日記者会見が4日に都内で行われ、ヒロインのベルを演じるレア・セドゥ、メガホンを執ったクリストフ・ガンズ監督が出席した。本作の主人公である“野獣”にちなみ、熊本県のPRマスコット・くまモンが駆けつけ、セドゥとともに劇中のダンスシーンを再現。『アデル、ブルーは熱い色』でカンヌ映画祭パルムドールを受賞したセドゥは「とっても可愛い!ダンスも上手ね」とすっかり上機嫌だった。

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美女と野獣が織りなす永遠のラブストーリーは、今やディズニーアニメが定番だが、もともとはフランスで生まれた文学作品。本作は1740年に初めて書かれたビルヌーヴ夫人版の物語を基に、バラを盗んだ父の罪を背負い、野獣の城に閉じ込められた美しい娘ベルが、恐ろしい外見の下に潜んだ野獣の真の姿を知り、城で起こった悲劇の真実を解き明かす姿にスポットをあてる。

「子どもの頃から親しんできた物語だけに、ベルを演じるのはある種、夢が実現した感覚」と語るセドゥだが、それだけに演じる難しさもあったそうで、「今までにないベル像を演じたいと思ったわ。映画を観た少女たちが、自分を投影できるような存在にしたかったの」と振り返る。完成した作品は「運命を自分の手で切り開くというモダンな内容になった。もちろん、美しいラブストーリーに変わりはないので、ぜひ夢を見てもらえれば」と誇らしげだった。

『ジェヴォーダンの獣』『サイレントヒル』などVFXを駆使した映像世界で知られるガンズ監督は、本作でも手腕を存分に発揮。日本文化にも造詣が深く、「巨人が登場するシーンは、三隅研次監督の『大魔神怒る』がインスピレーションを与えてくれた。人間と自然の神話的な関係性というテーマは、スタジオジブリ作品の影響だね」。滞在中には漫画家の松本零士氏と対面する予定で、「彼の作品を映画化する企画があって、その打ち合わせなんです」と明かしていた。

『美女と野獣』
11月1日からTOHOシネマズスカラ座ほか全国ロードショー

取材・文・写真:内田 涼