ハイセンスが基調講演でAIテレビの優位性をアピール

【中国・上海発】アジア最大級のコンシューマ・エレクトロニクス総合展示会「CES ASIA 2018」が中国・上海の浦東新区にある上海新国際博覧センター(SNIEC)で開幕し、基調講演を行ったCTA(Consumer Technology Association)のGary Shapio 社長兼CEOは「CES ASIAは今年、初めて開催した2015年と比べ2.5倍の規模に拡大し、昨年比でも24%拡大した」と、盛況ぶりをアピールした。

さらにCTAのGary Shapio 社長兼CEOは「主要20カテゴリのうち、今回はAI、自動車技術、コネクティビティ、AR・VR、ロボティクス、ドローン、デジタル・ヘルスが特に注目だ。アジアでも有数のテクノロジーの展示会で自動運転車やVRやドローン、AIが実際に動いているところを目の当たりにするだろう。これらの最新技術が、より安全、健康で豊かな生活を実現する」と話した。

続いてハイセンスグループの周厚健 会長が登壇。AI機能を搭載した65インチのULEDテレビHZU7Aを例に挙げながら、テレビとAIについて、「2017年、60インチ以上のテレビのうち4Kテレビの構成比が98%を超えた。またサッカーW杯はHDRフォーマットで放送される。画像の美しさがますます大きな差別化要因になっていく。また、急激に増大しているコンテンツの中から、観たいものを即座に探し出す機能も差異化の強みになる。ハイセンスは、これらを、高度な音声・画像認識が可能なAIを使って実現する」と話した。

AIを利用することで、音声によるコントロールが瞬時にできるうえ、これまでのスマートテレビではできなかった、画像認識によって情報検索ができるようになるという。6月14日に公開するW杯向けの専用AIアプリのデモンストレーションでは、ピッチでプレーする選手の詳細情報や、着ているジャージを販売するショップと価格を瞬時に表示するなど、AI機能の優位性を示した。

また、「注目の技術トレンド」と題して、講演したCTAのSteve Coenig マーケットリサーチ担当バイスプレジデントは、「中国の家電市場の対前年伸び率は、昨年16%だったが、今年は6%程度になる見込み。成長がスローダウンしているようにも見えるが、CES ASIAにみられるような新たな技術革新によって、成長率はすぐに回復するだろう」と述べ、「82年の1Gに始まり、92年の2G、01年の3G、12年の4Gと、ほぼ10年ごとに新しい高速通信規格が生まれてきた。そして2020年には5Gの時代を迎える。ここで中国は大きなチャンスをつかむことになるだろう」とは、今後の展望を語った。

また、「中国でもAIスピーカーは爆発しつつある。今年の市場は昨年比で256%と3倍近く拡大しそうだ。AIスピーカーなどのAIアシスタンスデバイスはDVDプレーヤー、スマートフォン、タブレットなどと並ぶ、消費者必携のデバイスになる」と予測した。

今回で4回目を数えるCES ASIAは、毎年1月に米・ラスベガスで開催されているCESのアジア版。成長著しい中国を始め、アジア各国での市場獲得を狙うグローバル企業が出展するのが特徴だ。日本からは、エプソンやシャープ、三菱電機などが新たに出展した。中国の大企業を中心に500社以上が出展し、6月15日までの期間中およそ4万人が来場する見込み。(BCN・道越一郎)