宝塚歌劇星組公演『The Lost Glory -美しき幻影-』より。轟悠 宝塚歌劇星組公演『The Lost Glory -美しき幻影-』より。轟悠

宝塚歌劇星組東京公演『The Lost Glory -美しき幻影-』『パッショネイト宝塚!』が9月5日、東京宝塚劇場で開幕した。トップコンビ柚希礼音、夢咲ねね率いる星組メンバーに加え、『The Lost~』では劇団理事でもある専科のスター・轟悠が特別出演で加わり、主演を務める。

宝塚歌劇星組 チケット情報

『The Lost Glory -美しき幻影-』は、シェイクスピアの『オセロー』をモチーフとしたオリジナル作品。第一次世界大戦後の好景気に沸くニューヨークを舞台に、ギリシャ移民としてアメリカに渡り、建築王としてアメリカンドリームを実現させた男・オットー(轟)と、彼に復讐心を燃やす腹心のイヴァーノ(柚希)を中心に展開する骨太な物語だ。宝塚男役として究極の様式美を見せる轟と、ニヒルな笑みでライバルを陥れていく柚希、両スターが並び立ち、火花を散らすさまは見応え充分。轟の特別出演という特性を活かし、宝塚歌劇の本公演ではなかなか見ることのない、ディープな人間ドラマとなった。さらに、ブロードウェイをはじめ世界で活躍する国際的なコレオグラファー、グスタヴォ・ザジャックが振付を担当したきらびやかなダンスシーンが随所に挿入され、“狂乱のジャズエイジ”を描き出すとともに、宝塚らしい華やかさも堪能できる。

また、『パッショネイト宝塚!』はラテンを題材としたショー。ダイナミックなダンスに定評のある柚希を中心に、星組のパッションが溢れる熱いステージになっている。中でもカポエイラを取り入れたシーンで見せる柚希のハイレベルで力強いダンスは必見だ。

初日に先駆け同日、会見を開いた柚希は「お芝居では(トップ就任から)ずっとヒーロー役が続いて、悪役的な役柄はなかなかできなかったので、とてもやりがいを感じています。ショーの方では、夏は終わりそうですが、また夏が戻ったような熱い舞台にしたい」と意気込みを話した。

トップ就任から6年目、宝塚100周年の顔のひとりとして活躍している柚希・夢咲コンビだが、次回公演『黒豹の如く』/『Dear DIAMOND!!』(宝塚大劇場:2015年2月6日~3月9日、東京宝塚劇場:2015年3月27日~5月10日)をもって退団することを先月発表したばかり。現在の心境を問われ、「今までも毎回を退団公演だというつもりでやってきたので、(改めて)頑張るということはない。でもやはり限られた時間がはっきりしましたので、その時が来るまでもっともっと男役を追求して素敵になれるようにしたい」(柚希)、「残りの日までまだ色々なことがあるので、日々自分に厳しく、宝塚を愛し続けていけたら」(夢咲)と語っていた。

宝塚歌劇星組『The Lost Glory -美しき幻影-』『パッショネイト宝塚!』東京公演は10月5日(日)まで上演。