株主総会で議長を務めるメルコHDの牧寛之社長

メルコホールディングス(メルコHD)が6月15日に名古屋市内のホテルで開催した第32期定時株主総会は、取締役7人の選任など5議案すべて可決して終了した。牧寛之社長が5月8日に連結子会社でPC周辺機器メーカーのバッファローの社長を兼任し、初の株主総会となった。

冒頭、議長の牧社長が、今年4月3日に逝去した創業者・牧誠氏と株主の親交に感謝し、「創業者が遺した経営理念を継承し、代表取締役として一層精進していく」と語った。

事業説明では「売り上げの伸長に頼らずとも利益を生み出せる経営を推し進めてきた」とし、アパートのオーナー向けWi-Fiサービスの「アパートWi-Fi」の累積導入戸数が3万5000件を超えたことや、HDDのメディアからデータを復旧する「データ復旧サービス」の累計受付件数が6000件を超えたことなど、サービス事業による収益力の強化に取り組んでいる状況をアピールした。

株主から4月1日に完全子会社化した製麺メーカー・シマダヤについて質問が上がると、牧社長は「創業者が最後の仕事として臨んだ事業。収益を生み出す大きな“井戸”として、将来の発展に高い確信を持った経営判断である。IT×不動産がアパートWi-Fiであるように、ITとの掛け算に期待して欲しい」と応え、ITと異業種である食品とのコラボレーションの可能性を語った。

松尾民男副社長は「シマダヤは関東圏に強いが、まだ全国展開はできていない。また世界で和食が注目されるなか、グローバル展開の余地も大きい。食の安全によるIoTソリューションを実証試験し、食品業界全体に伝わるようなソリューションを考えていきたい」と、シマダヤの将来性や可能性について補足した。

なお、期末配当では、シマダヤの完全子会社化を記念し、普通配当25円に記念配当25円を加えた1株あたり50円が議決された。年間配当金は1株75円になる。

さらに経営体制の透明化と説明責任の明確化を図るために、相談役と顧問制度を廃止する議案も承認された。(BCN・細田 立圭志)