とんでもない理由で葬られた漫画も!?

最後に、ちょっと普通では考えられないような経緯で問題になった漫画を紹介したい。

前代未聞のスケールで“盗作”が発覚した作品としては、2007年に講談社のマガジンドラゴン第1号で発表された『メガバカ』(作:豪村中)が有名。週刊少年マガジンの増刊にあたる同誌では新人作家10名が読者投票で“少年マガジン本誌への掲載権を競う”企画が催され、その候補作である『メガバカ』から多量の盗作が見つかったのだ。
 

実際に検証サイトでのまとめを見てもらえば早いが、ほぼ全ページ、全コマにわたって『DEATH NOTE』など人気漫画からの盗用・トレースが見つかっている。

講談社は盗用の事実を認めて謝罪文を掲載し、『メガバカ』は選考の対象外とされた(雑誌回収までは至っていない)。結局、この騒動でケチがついたためか、マガジンドラゴンは2009年に第2号を出して以降の動きがまったくない。講談社公式サイトからもマガジンドラゴン特設ページが消滅しているのを踏まえると、おそらく“黒歴史”として雑誌ごと葬られてしまったのだろう。1つの盗作漫画を気づかずに掲載してしまったことが、マガジンのブランド名に泥を塗った形だ。

珍しさで『メガバカ』騒動に匹敵するのが、成人向け漫画『恋するウシチチ』をめぐる“モザイク入れ忘れ騒動”だ。作者の真鍋譲治氏は同じペンネームで一般向けと成人向けの商業作品を描いている漫画家の1人。一般向け作品としてはアニメ化もされた『アウトランダーズ』『銀河戦国群雄伝ライ』がよく知られている。

騒動は2009年に起こった。『恋するウシチチ』の単行本が真鍋氏のもとへ届いたが、なんと出版元の辰巳出版が“成人漫画で隠さなければならない部分”を無修正のままにしていたミスが発覚。作者みずから出版社へ怒鳴り込んだというものだ。この違法スレスレどころか完全にアウトな初版コミックは回収されることになったが、一部が書店にならび読者の手に渡ってしまったらしい。自身に何の落ち度もなかった真鍋氏は当然のように激怒し、『恋するウシチチ』連載を終了させないまま辰巳出版との縁切りを宣言。最終的に本作は同人誌で完結させたという。

冒頭の『ハイスコアガール』の件もそうだが、漫画回収・絶版をめぐる騒動には「出版社(編集部)がもっとしっかりしていれば……」と惜しまれるケースが多い。多くの作品を抱える編集者が多忙なのはもちろん分かるが、漫画家が余計なことに気をとられず全力で創作に打ち込めるよう、こまやかなサポートを心がけて欲しいものだと思う。

パソコン誌の編集者を経てフリーランス。執筆範囲はエンタメから法律、IT、教育、裏社会、ソシャゲまで硬軟いろいろ。最近の関心はダイエット、アンチエイジング。ねこだいすき。