駆込み購入の反動から回復しつつあるデジタル家電市場

BCNは、9月11日、記者発表会を開催し、全国の家電量販店・ネット販売店の実売データを集計したBCNランキングのデータをもとに、PC・デジタル家電市場の最新動向と今後の展望について解説した。テーマは、「デジタル家電市場から見た2014年の景況判断――増税インパクトは今どうなっているのか」。

BCNの試算では、2014年1~12月のデジタル家電市場の販売金額は、増税前の駆込み需要の効果が大きく、前年比で6.1%増になる見込み。4月以降には特需の反動減があったが、Windows XPのサポート終了に伴うPCの買替え需要が、十分にこれを補った。一方で、年度ベース(2014年4月~2015年3月)では前年度比8.4%減に落ち込む見込みだ。

道越一郎エグゼクティブアナリストは、「2014年デジタル家電市場の景況感は、いわばまだ病み上がりの状況にある。地デジ化特需の反動減に苦しんだ時期を経て、各カテゴリにようやく回復の兆しがみえはじめているが、市場構造はまだぜい弱だ」と分析。「主要4カテゴリ(液晶テレビ、レコーダー、デジタルカメラ、PC)の足元の動きは緩やかな回復傾向にあり、駆込み購入による「貯金」は年末までもちそうだ。しかし、2015年10月に消費税がさらに増税になると、回復の芽を摘むおそれがある。本格的にトレンドに乗るには、まだ時間がかかるだろう」と今後の懸念点を語った。

高性能化や4Kなどで平均単価が年々上昇している液晶テレビだが、6月をピークに価格はやや下がっている。大型化が顕著だった画面サイズは、ここにきて潮目が変わり、平均画面サイズが35V型以下でシェアを落としていたシャープが7月以降は盛り返し、大型化でシェアを伸ばしていたソニーの平均画面サイズが縮小傾向にある。

マイナス幅は縮小しているが、いまだに台数では前年比2ケタ減のPC市場は、タイプ別の販売台数構成比で、タブレット端末のシェアが40%以上まで伸長。グローバルでは頭打ちとの声もあるタブレット端末だが、日本では継続して成長している。画面サイズは大型モデルにトレンドが推移し、13年8月はサイズ別台数構成比で70%を占めていた7インチ未満のモデルが、14年8月には半数以下まで落ち込み、8インチ以上のモデルが急速にシェアを伸ばした。

会見では、市況分析以外にスマートフォンのカメラ機能を2~3日に1回以上利用する人を対象に実施した「『スマートフォン』のカメラ利用と写真アプリに関する調査」の結果を紹介。スマートフォンで撮影する理由として、「保存しやすいから」がデジタルカメラと大きく差をつけるなど、意外な調査結果を明らかにし、両者を差異化する指標を示した。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。