メルカリの初値は5000円。取引開始から買い注文が殺到

日本のフリマアプリをけん引してきたメルカリが6月19日に東京証券取引所マザーズに新規株式公開(IPO)した。

「ユニコーン企業」(価値の高い未上場スタートアップ)のリストに載る数少ない日本企業であるメルカリの上場には、国内のみならず海外の投資家からも熱視線が注がれ、IPOのブックビルディングには申し込みが殺到。取引を開始した9時には買い注文が殺到し、初値がつかない状態がしばらく続いた。

初値を形成したのは11時過ぎ。公募価格である3000円の約1.7倍の5000円の値をつけた。その後も価格は上昇しており、12時台には一時6000円まで上がった。メルカリの上場直前まで、マザーズ銘柄の時価総額1位は約2300億円のミクシィだったが、メルカリは7000億円を超えており、トップに躍り出ている。

メルカリはサービス開始からわずか5年で、国内を代表するフリマアプリサービスに成長。2017年12月には世界1億ダウンロードを突破した。国内では「メルカリ」以外にもシェアサイクルやライブコマースの分野にも進出し、サービスの幅を拡大させている。

2017年6月期連結決算の売上高は220億円、最終損益は42億円の赤字を計上。もともと17年内の上場を目指していたが、資金決済法や不正出品問題を巡る金融庁や警察庁との協議が難航し、このタイミングまでズレこむなど、ネガティブな要素も見受けられた。しかし、上場直前の注目度や初日の値動きからは、知名度や将来性がそれを上回っていることがうかがえる。

メルカリが目指すのは単なるプラットフォーマーではなく、AmazonやGoogleのように最先端テクノロジーで各市場に影響力を高めるシリコンバレー型の企業だ。17年12月にはITテクノロジーの研究開発組織「mercari R4D」を設立。「3年で1000人規模の技術者を雇用する」とテックカンパニー化の構想も打ち出している。多くの日本企業が海外勢の進出に防戦一方のなか、“攻め”の姿勢が鮮明なメルカリにかかる期待は大きい。

山田進太郎会長 兼 CEOは以前から「海外で成功しなければ、事業をやる意味がない」とコメントしており、上場で調達した資金も米国や英国などの海外事業への投資にあてるとみられている。(BCN・大蔵 大輔)