マット・リーヴス監督 (C)2014 Twentieth Century Fox

映画『猿の惑星:新世紀(ライジング)』が9月19日(金)から公開になる。本作は傑作『猿の惑星』の“はじまり”を描くシリーズの第2弾で、メガホンをとったマット・リーヴス監督はSF的な設定を用いて、シェイクスピア劇のような“普遍的なドラマ”を描いたという。

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本作の主人公は、独自の進化を遂げ、仲間を率いて人間に反旗を翻した猿のシーザー。彼は人間に育てられた記憶があり、絶滅の危機に瀕した人間たちと共存するべきか、それとも再び戦うべきかの間で迷い、苦悩する。本作を“王と家族の物語”と分析するリーヴス監督は「だからこそ、猿の視点で物語を語るべきだと思いました。この映画は猿と彼の家族の苦悩の物語です。ですから『ゴッド・ファーザー』がシェイクスピアのような物語を“ギャング映画”というジャンルで語ったのと同じように、本作では非常に知的な猿を登場人物にシェイクスピア的な物語を語っていると感じました」という。

そのために監督はこれまで以上に登場人物の“内面”を描くことに注力した。「私にとって映画の中で一番重要な事は、キャラクターに感情移入できることです。この映画でもシーザーの視点がわからないと全然うまくいきませんし、彼の気持ちがわかって、初めて大きなアクションシーンになった時に、彼の気持ちになって、一緒になって映画を楽しめると思います。今回、本当にエキサイティングだと思ったのは、(VFXを担当した)WETAというスタジオによって、俳優の演技をそのまま猿の演技に変えてしまうという技術があった事です。俳優の表情から気持ちがすべて伝わるのです。ですから俳優たちと話し合ったり、彼らのアイデアを取り入れたりしながら、他の作品と同じように撮影現場でドラマを作りこむことができました」。

さらに監督は「この映画で非常に重要なことは“悪役”がいないこと」だと語る。「すべての視点を入れ、猿と人間それぞれの困難やジレンマを描くことで、長い時間をかけて対立が起こっていく過程や、それぞれに理由があって行動し、それがやがて暴力につながっていくのだということを描きたいと思いました。この映画は西部劇の構造を用いて“人は他の部族と共存できるのか?”という質問を投げかけています。今の世の中を見ても、人間はなかなか平和に暮せないですし、暴力が絶えることはありません。猿の行動や性質を見ることは、人間の性質や行動を見ることになると思いますし、この映画はまさに我々の世界、人間の歴史を描いているのだと思います」

『猿の惑星:新世紀(ライジング)』
9月19日(金)全国ロードショー