(左から)成島出監督、笑福亭鶴瓶、吉永小百合、阿部寛、竹内結子

第38回モントリオール映画祭で2冠を達成した『ふしぎな岬の物語』の凱旋会見が16日に東京国際フォーラムで開催され、主演を務める吉永小百合をはじめ、阿部寛、竹内結子、笑福亭鶴瓶、成島出監督が出席した。

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ワールド・コンペティション部門で審査員特別賞、キリスト教関連団体が贈るエキュメニカル審査員賞をダブル受賞。初プロデュースも手がけた吉永は、「夢のような時間を過ごした。新米プロデューサーの私がこんな幸せでいいのだろうかと思うほど。暖かな心に響く映画にしたいという、現場の願いが届いた」と改めて喜びを実感していた。

また、吉永とともに現地入りしていた阿部は、「とても日本的な物語だが、向こうの皆さんの反応がとても良くて。朝ごはんを食べるホテルのビュッフェや、エレベーターで記者の皆さんが声をかけてくださった」と受賞結果の発表を前に、すでに手応えを感じていたという。それだけに「壇上で吉永さんの後ろ姿を見られて、何より嬉しかった。ふたつの賞をいただき、役者人生の力になります」と誇らしげだった。

本作は、森沢明夫著の『虹の岬の喫茶店』をモチーフに、岬でカフェを営む悦子(吉永)と、そこに集う人々の温かくも切ないドラマが綴られる。『八日目の蝉』で第35回日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞した成島監督は、受賞の一報を受け取り「監督という立場を忘れて、万歳してしまった」といい、「人と人の絆や『ひとりじゃないから大丈夫』というメッセージが、海を渡り、大きな虹がかかった」とこちらも喜びを再確認。「吉永さんが現場の中心にいてくださったおかげで、みんなが岬村の住人になれた」と感謝を表した。

会見後に同会場で行われたジャパンプレミアには、本作のために、杉田二郎、堀内孝雄らが結成した新ユニット“ブラザーズ5”と、メインテーマ曲『望郷』を手がけた人気ギタリストの村治佳織が駆けつけ、ライブを披露した。

『ふしぎな岬の物語』
10月11日(土)全国ロードショー

取材・文・写真:内田 涼