左から、藤村忠寿、鈴井貴之  撮影:源 賀津己 左から、藤村忠寿、鈴井貴之  撮影:源 賀津己

鈴井貴之が率いるOOPARTSプロジェクト、4年ぶりの新作舞台『SHIP IN A BOTTLE』が11月1日(土)から東京を皮切りに、大阪、名古屋、札幌で上演される。人気番組『水曜どうでしょう』(HTB)の藤村忠寿ディレクターも出演が決定。鈴井と舞台初タッグも話題だ。

OOPARTS Vol.2 『SHIP IN A BOTTLE』チケット情報

OOPARTSは1998年まで劇団として活動していたが、その後活動を休止。今回は2010年、鈴井の個人プロジェクトとして復活後の第2弾で待望の新作だ。物語の舞台は南太平洋上のマグロ漁船。それは海上刑務所だった。乗組員は受刑者たち。そこに嵐がやってきて……と、波乱だらけのダークコメディが展開する。

作・演出・出演の鈴井は「閉鎖的な空間に追いこまれた人間に興味があって、逃げ場のない状況が面白いなあと思って2、3年前から構想していた物語。映像ではできない、演劇ならではの表現をやりたかったんです」と話す。

藤村は今年、地元北海道の劇団で初舞台を踏んだばかりの“新人俳優”。お酒の席で鈴井に出演を頼んだそう。「おっさん(鈴井)が一番出してくれやすいからね。僕はラグビーをやってたんだけど、演出家が監督なら、監督はベンチに入れないので、試合はプレイヤーが組み立てていく。同じことで、舞台をやるなら俳優のほうがいいなあと。初舞台は今までと違う脳が働いて、体を使っているのが非常に気持ちよかった」と自信がある様子。「最初は本気だと思ってなくて僕のほうが焦りましたね。でも、できるかどうかは素養なので、片鱗はずっと一緒にやっていて見えてましたから」(鈴井)。「もう期待だらけ。テレビとは立場が逆になるのですが、人間としては互いに分かっていて、いい関係ができてるから」(藤村)。「そこらへんは、信頼している。テレビでどんな衣装が用意されても、僕は文句を言ったことはないからね(笑)」(鈴井)と、名コンビぶりは舞台でも健在だ。

ほかのキャストも多士済々。キャラメルボックスの大内厚雄、D-BOYSの三津谷亮、ヨーロッパ企画の諏訪雅と石田剛太、範宙遊泳の熊川ふみらが出演する。「多分、最後までこのメンツは融合しないだろうなあ。でも、この混在に期待があるんです。受刑者という違う考えのやつらが混ざり合ったとき、どんなマーブル模様を描くか。そのマーブルがお客様の目にはどう映るか。今は違う人を排除しようとするけど、違う人がいるから世の中面白い。やじろべえだってシーソーだって、どっちかに傾いたままだと面白くないし、危ないよね。まあ、そんな感覚を船というシーソーに乗せたいのです」

たっぷり笑った後、「あれっ!?」とスパイスに気づかされる鈴井ワールド。観客もシーソーで上がったり下りたり、心が弾む物語を見せてくれそうだ。

公演は11月1日(土)から9日(日)まで東京グローブ座にて上演。その後大阪、名古屋、札幌を巡演。チケットは9月20日(土)より一般発売開始。

取材・文:田窪桜子