相棒のチューバッカとオールデン・エアエンライク

 愛機ミレニアム・ファルコン号で銀河を疾走する伝説のヒーロー、ハン・ソロ。『スター・ウォーズ』シリーズ屈指の人気を誇る彼は、いかにして愛すべき悪党となったのか。ルークとレイアに出会う前、若きハン・ソロの知られざる過去を描いた『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』が6月29日から全国公開される。公開を前に来日したハン・ソロ役のオールデン・エアエンライクが、大役に対するプレッシャーや、演じる上で考えたことなどを語った。

-ハン・ソロを演じることが決まった時の心境は?

 とてもワクワクしましたし、うれしくもありました。自分の人生にとって、冒険になるような体験ができると思い、本当に興奮しました。

-『スター・ウォーズ』シリーズの中で、一番好きな作品は? また、今回はあえてハリソン・フォードには似ていなくてもいい、というコンセプトだったようですが、何かハリソンを意識して演じた部分はありましたか。

 僕が一番好きな作品は『エピソード5/帝国の逆襲』(80)です。今回、出演が決まった際に、シリーズを全て見直して、いろいろと研究をしました。その中でも、ハリソン・フォードの演技について、ハン・ソロのキャラクターについて、そして『スター・ウォーズ』の世界観や、背景について重点的に調べました。これらが自分の中にちゃんと吸収できれば、よく知っている歌を聴くように、なじみのものになると考えました。そうすれば撮影に入っても、自然にそれが表れるようになるはずだと思いました。

-観客にはハリソン・フォードのハン・ソロというイメージが定着しています。今回は“若い頃”という設定でしたが、その役を演じるということは相当なプレッシャーがあったと思います。演じる上で何か心掛けたことはありましたか。

 もちろん演じるに当たってのプレッシャーはありましたし、『スター・ウォーズ』作品であるということで、さらにプレッシャーは強くなりました。でも、僕が仕事に対して感じるプレッシャーは、作品を問わずいつも同じものなのです。自分はちゃんといい仕事ができるのか、その結果を観客に気に入ってもらえるのかということです。ただ、自分で制御できないことに関してはどうすることもできません。ですから、自分が責任を持てる部分で、与えられた役をきちんとこなすということを常に心掛けています。今回、ハン・ソロを演じて楽しかったことは、大作ということで、さまざまな角度から立体的に演じることができたことです。

-「役に対するアプローチはどの作品でも変わらない」と、おっしゃっていますが、今回のように、出演作が大きくなると、ご自身の考えとは別に、周囲が変化するところがあると思います。それに対する戸惑いのようなものはありますか。また、ハン・ソロを演じてご自身が変化したことはありますか。

 僕が常に気をつけていることは、俳優としての人生と私生活をちゃんと分けて考えなければいけないということです。この映画に出たことで、世界中を訪れたり、いろいろな人と話す機会も増えましたが、私生活は何も変わっていません。それは僕のことを支持してくれて、僕の変化を喜んでくれる友人や家族に恵まれているからだと思います。

 今回得たスキルは、大作で主役を演じるということです。クルーの人たちは僕が撮影に臨んでいるときに、常に僕の言動に注目しています。ですからきちんとした行動を取らなければならなかったし、自分に課せられている責任を認識し、みんなの模範となるように心掛けねばなりませんでした。こういうことが、リーダーシップというものなのかと感じました。

-もともと『スター・ウォーズ』は、西部劇や黒澤明監督の映画の影響を受けています。ロン・ハワード監督にも伺ったのですが、今回はそうした要素が特に強かったと思います。オールデンさんは『ヘイル、シーザー!』(16)のときは西部劇のスターを演じていましたね。

 (ローレンスとジョナサンの)カスダン親子の脚本から、彼らが古き良きハリウッド映画をとても愛していることが伝わってくると思います。例えば、この映画のベケット(ウディ・ハレルソン)とハン・ソロの関係は、『ワイルドバンチ』(69)や『荒野の七人』(60)、あるいは『明日に向って撃て!』(69)などをほうふつとさせるようなところがあります。僕もそうした映画が大好きです。

-最後に、日本の観客に向けて一言お願いします。

 自分が撮影していて最も楽しかったのは、ミレニアム・ファルコン号がとてもカッコ良かったところで、思わず窓から外をのぞいてみたり、コックピットにあるボタンを押してみたりもしました(笑)。この映画は、今までの『スター・ウォーズ』シリーズと比べて、くだけたところもありますし、たくさんのクリーチャーや、僕が大好きなアングラなギャングも登場します。日本のファンの皆さんにも十分に楽しんでいただける映画になっていると思います。

(取材・文・写真/田中雄二)