(左から)楳図かずお“監督”、舞羽美海、片岡愛之助、真行寺君枝

日本を代表する鬼才漫画家・楳図かずおが27日に東京・新宿ピカデリーで行われた初監督作『マザー』の初日舞台あいさつに登壇した。映画は亡き母親をモチーフにした自伝的ホラーで「僕にとっては『14歳』から地続きになった、19年ぶりの新作。よくできた映画になった」と手応え十分だった。

『マザー』初日舞台挨拶その他の写真

本作は、鬼才漫画家・楳図と、彼の自叙伝を担当する女性編集者が、死んだはずの楳図の母の怨念が引き起こす怪奇現象に襲われるというホラー。楳図自身が脚本も手掛け、独特な作風に強い影響を与えたとされる実母との思い出を掘り下げた。

舞台あいさつには楳図“監督”をはじめ、主人公である楳図を演じる歌舞伎役者の片岡愛之助、編集者を演じる元宝塚歌劇団雪組の舞羽美海、楳図の母親役を務めた真行寺君枝が出席した。

初のホラー作品に挑んだ愛之助は「現場ではずっと笑いっぱなしで、まったくホラー感がなかった。『まことちゃん』世代なので、出演できて本当に嬉しい」と感激しきり。「歌舞伎と楳図先生の世界は、美の集大成という点で共通している。『グワシ!』は歌舞伎の見得と同じですし」と持論を展開し、「実は監督が、この映画でやり残したことがあると聞いている。ぜひ『マザー2』でそれが実現できたら」と続編に意欲を示した。

宝塚退団後、初のヒロイン役に挑んだ舞羽は「映像作品は初心者。でも、監督がこと細かに描いてくださった絵コンテが演技の参考になった」。15年ぶりの映画出演を果たした真行寺は「若い頃に読んだ『へび少女』がトラウマになっている。今回は楳図先生へのリベンジのつもりで演技に臨んだ」と話していた。

『マザー』
公開中

取材・文・写真:内田 涼

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