12年を投じて“誰もが共感できる映画”が完成

2014.9.30 10:14配信
『6才のボクが、大人になるまで。』 (C)2014 boyhood inc./ifc productions i. L.L.c. all rights reserved.

リチャード・リンクレイター監督が主要キャストを12年間に渡って撮り続けて完成させた映画『6才のボクが、大人になるまで。』がすでに公開されている国で熱狂的な支持を集めている。本作はその撮影手法に大きな注目が集まっているが、観賞した観客は、描かれているキャラクターに共感し、深い感動をおぼえているようだ。

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本作は、母と一緒にヒューストンからテキサスへと移り住んできた6才の少年メイソンを主人公に、彼と家族、そして周囲の人々の物語を壮大なスケールで描いた作品。リンクレイター監督はキャストを12年間に渡って撮り続け、彼らのリアルな成長や加齢をフィルムに記録。ベルリン映画祭で銀熊賞(監督賞)を、シアトル映画祭で作品賞と監督賞を受賞するなど、賞賛を集めている。

ひとりの少年の成長をじっくりと描いた本作では大きな出来事は何も起こらない。しかし、観客の多くが「共感した」「自分の子どもの頃を思い出した」「親ならば誰もが感じる気持ちをうまく描いている」という感想を抱くそうだ。「この映画のような、ゆっくりと年齢を重ねていくような映画は見たことがない。それが、私が描きたい、描く価値があると思う子供時代を描く方法だった」というリンクレイター監督は、カッチリと書き込まれた脚本ではなく“計画書”のようなものを作成して、1年に数日ずつ撮影を続けたという。「この映画はみんなの記憶をまとめたものなんだ。私の子供時代、エラーの子供時代、イーサンの子供時代、パトリシアの……だが何割くらいなのかはっきり言うのは難しい」。

スタッフやキャストの“記憶”を長い時間かけて集めて作り上げた映画は、観客の“記憶”を刺激する作品になった。親がいなくて不安を感じた幼少期、兄弟姉妹のことがわずらわしくてしかたがない時期、自分の好きなことを見つける時期、親のことが面倒になる時期、そしてひとりの人間として親と向かいあえるようになった時期……本作では、誰もが経験した、共感できるシーンが描かれる。監督は撮影を終え、「どんなことが起こり得るか、いろいろな可能性を考える余裕なんてなかった。人はみんなそういう可能性と共に生きてるんだ」と語る。「いつ何時電話が鳴って、どんな恐ろしいニュースが届くか、誰にもわからないんだからね。この映画でも実際の人生でも、何の変りもないってことさ」。

主人公の少年時代を“まるごと”記録した本作は、撮影には12年かかったが、誰もが共感できる作品として、何年も愛され続けることになりそうだ。

『6才のボクが、大人になるまで。』
11月14日(金) TOHOシネマズ シャンテほかにて公開

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