ベストセラー小説『悪童日記』が遂に映画化!

2014.10.2 14:35配信
ヤーノシュ・サース監督

1986年にフランスで発表され話題を呼び、40以上の言語に翻訳されるに至った小説『悪童日記』。日本でもベストセラーとなった同小説は、トマス・ヴィンターベアら名だたる監督による映画化の話が幾度も浮上しながら消えるなど、様々な要因が重なり、いつからかこういわれていた。“映像化不可能”と。その難題といえる映画化をハンガリーのヤーノシュ・サース監督がやり遂げた。

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映画化が頓挫してきた原作への挑戦。まず、この試みに臨んだ理由を監督はこう明かす。「とにかく僕はリスキーなテーマや題材に挑むことが好きなんだ。また、両親がユダヤ人強制収容所からの生還者で。一度、戦争にきちんと向き合いたかった。『悪童日記』はそのふたつのテーマにトライできる。だから、いつか自分にチャンスが巡って来ると信じていたんだ」

ハンガリー出身の亡命作家、アゴタ・クリストフの原作は舞台となる町の名も主人公の出身地も特定されていない。その中で、監督はハンガリーが舞台のハンガリー人の物語として描いた。「アゴタが自身の体験が基になっていることは明確。だから、アゴタ本人に会ったとき、僕はこう切り出した。『これはあなたの記憶と体験を綴った物語。ですから、ハンガリー語でハンガリーを舞台に描きます』と。そのとき、彼女は『そのとおりよ』といってね、すごく喜んでくれたよ」

物語の主人公は第二次大戦末期、首都ブタペストから田舎町の祖母宅に疎開した双子の兄弟。ナチスの侵攻、ユダヤ人差別、貧困など、国が混迷を極める中、彼らが身を持って体験する過酷な現実が描かれる。中で鮮烈な印象を残すのが双子を演じた子役の二人。実は演技経験のない素人を起用した。「死と隣り合わせの戦時下を生き抜く兄弟を体現できる子役を現代から探し出すのは至難の業で。ハンガリーのすべての学校に電話して、奇跡的に出会ったのがアンドラーシュとラースローのジェーマント兄弟だった。実際に彼らは貧しい村の出身で。劇中の兄弟同様に肉体労働の経験もあった。ありのままでいてほしかったからあえて演技指導はしなかったよ」

作品はチェコのカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭でグランプリを獲得など世界各国で高い評価を得ている。「各国ともに若い人たちがこの映画を支持してくれね。“この兄弟の境遇は他人事ではない”と現代の社会に重ねて語る若者がすごく多い。僕は受賞よりもそのことがうれしい。日本の若者にもぜひ観てもらいたいね」

『悪童日記』
10月3日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、シネマカリテほかにて公開

取材・文・写真:水上賢治

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