宝塚歌劇月組公演 宝塚歌劇月組公演 撮影:三上富之

宝塚歌劇月組によるミュージカル『PUCK(パック)』、ショー・ファンタジー『CRYSTAL TAKARAZUKA-イメージの結晶-』が9月26日(金)、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。『PUCK(パック)』は、1992年に涼風真世を中心とした月組で上演された人気作で、今回、22年ぶりの再演が実現。シェイクスピアの『真夏の夜の夢』をモチーフに、人間に恋をした妖精パックが愛を得るために大活躍し、人間になるまでを描いたファンタジックなミュージカルだ。

宝塚歌劇月組『PUCK(パック)』/『CRYSTAL TAKARAZUKA-イメージの結晶-』のチケット情報

パックを演じるのは、作品の大ファンだったという男役トップスター龍真咲(りゅう・まさき)。パックが森で誕生する瞬間から演じており、イキイキと演じるその姿からも、作品への想いが伝わるようだ。声色やしぐさは少年のような可愛さで、ダンスも軽やか。ローラースケートで動き回り、自分の姿が見えない人間たちにアドリブを交えながら、次々といたずらを仕掛けていく。無邪気なパックがハーミアに恋をしたり、人間に触れることでさまざまな感情が生まれるという、パックの成長物語でもある。年を取らない妖精に対し、瞬く間に大人へと成長していく人間たち。演出家・小池修一郎の手により、その変化が滑らかにテンポ良く描き出されていく。

人間の中でひとり妖精が見えるハーミアを演じるのは、愛希(まなき)れいか。大人になっても変わらない純粋さを持ち、ずっと夢を見続ける女性を情感豊かに演じている。ほかのキャラクターも、初演時の出演者に当て書きして作られたものだったが、今の月組メンバーにもピッタリ。ナルシストなホテル王の息子・ラリーに美弥(みや)るりか、憎めない貴族の御曹司ラリーを凪七瑠海(なぎな・るうみ)、負けず嫌いなハーミアのいとこのヘレンに男役の沙央(さおう)くらま、妖精の王オベロンに星条海斗(せいじょう・かいと)、能天気な森番の息子でロックスターのボビーに珠城(たまき)りょう、と、それぞれが個性を活かしながら演じるキャラクターたちを見るのも楽しい。

第二幕のショーは、ダンスの結晶、愛の結晶、しずくの結晶など、さまざまな“結晶”をイメージしたシーンが展開。プロローグや中詰でのエネルギッシュなダンスに、シンデレラをモチーフにしたストーリー性のあるシーン、黒燕尾の男役群舞、しっとりとしたデュエットなどが繰り広げられていく。両作を通し、メンバーそれぞれの際立つ個性、それが集結したときの圧倒的なパワーが感じられるステージだった。

兵庫公演は11月3日(月・祝)まで上演中。また、11月21日(金) ~ 12月27日(土)まで、東京宝塚劇場にて上演される。東京公演のチケットは10月19日(日)より一般発売開始。

取材・文/黒石悦子