既報の通り、今秋のiPhoneを巡るシェア争いは、昨年同様、ソフトバンク優勢でスタートした。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、「iPhone 6」と「iPhone 6 Plus」を合わせた10月5日までの累計のキャリア別販売台数シェアは、ソフトバンク45.2%、au31.5%、ドコモ23.3%。発売3日後の9月21日までの時点、発売10日後の9月28日までの時点と順位は同じだが、1位のソフトバンクと3位のドコモとの差は、当初より3.8ポイント広がった。

●ソフトバンクが累計シェア4割超を維持 週次集計でも3週連続トップ

週単位で集計すると、直近の9月最終週(2014年9月29日~10月5日)は、ソフトバンク51.0%、au28.7%、ドコモ20.3%となり、発売1週目の9月第3週(9月15~21日)、2週目の9月第4週(9月22~28日)に比べてソフトバンクのシェアは拡大し、ドコモはやや下がった。週あたりの販売台数は、9月第3週をピークに減少しているものの、発売3週目でも発売1週目の約6割を売り上げ、それほど大きくは落ちていない。

●販売実績は3キャリアとも前年以上 ドコモは新料金プラン強制が裏目?

インターネット上では、発売直後、家電量販店の店内に掲示されたキャリア・容量ごとの在庫・予約受付状況の写真とともに、「ドコモのiPhoneだけが余っている」という書き込みが散見された。その理由として、月額2700円の定額で国内音声通話が無料になる新料金プランと従来の料金プランという二つの料金プランから選択できる他社と異なり、ドコモは、機種変更時に従来の料金プランを継続すると、割引サービス「月々サポート」が適用されなくなり、実質負担額が高額になってしまう。そのため、事実上、新料金プランしか選べず、選択肢がない点を指摘するコメントが目立った。

「iPhone 6」と「iPhone 6 Plus」を合わせた10月5日までの累計販売台数は、ソフトバンク、au、ドコモとも、前年の「iPhone 5s」と「iPhone 5s」を合わせた同期間の販売実績を上回っている。実際には、各キャリアとも販売は伸びていて、今の時点で「ドコモ一人負け」という判定は下せない。とはいえ、ドコモのみ伸び率は低く、このままじわじわとシェアが低下し続けると、iPhoneに限っては「2強1弱」という評価は否定できなくなってしまう。各キャリアは新料金プランをプッシュしているが、従来に比べ、値上げになってしまう一部のユーザーからの反発は強く、性急にすべてのスマートフォンユーザーに新料金プランへの移行を強いたドコモの判断は、時期尚早だったかもしれない。

新iPhoneの販売台数の8割弱を占める「iPhone 6」に加え、発売直後は品薄だった「iPhone 6 Plus」もようやく入荷が増え、入手しやすくなってきた。販売台数はまだまだ積み上がりそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。