世界最大のカメラの祭典フォトキナに世界3位のスマホメーカーファーウェイが初出展

ファーウェイは、ドイツ・ケルンで9月に開催される世界最大のカメラ関連市場の見本市フォトキナに初めて出展する。同社は中国の大手通信機器メーカーだが、このところスマートフォン(スマホ)で頭角を現しており、サムスン、アップルに次ぐ、世界的なスマホメーカーとしても知られている。スマホ市場は世界的に競争が激化しており、基本機能ではほぼ横一線。競合に対抗するためメーカー各社が最も力を入れているのがカメラだ。

世界で年間3000万台規模のデジカメ市場に対し、14億台規模の世界市場をもつスマホ。そのため研究開発投資の規模も大きく、撮影の機能としてはスマホがカメラを超えつつある。ファーウェイがフォトキナに初めて出展することはその表れの一つとも言え、写真業界にとっては大きな意味を持つ。

スマホメーカーとしてのファーウェイの躍進は、14年にカメラの老舗、ドイツのライカと共同研究を始めたのが起点だ。その後スマホのカメラで高い品質と芸術性を実現するとして、16年に初の共同開発モデル「P9」を発売。ファーウェイとライカのダブルブランドスマホの歴史をスタートさせた。

最新の製品では、3つのカメラユニットを備えるフラグシップ「P20 Pro」、スタンダードモデル「P20」にライカブランドを冠している。いずれも、プロセッサに同社がNPU(Neural-Network Processing Unit)と呼ぶAIを内蔵した「Kirin 970」を採用しているのが特徴だ。AIプロセッサはスマホの省電力機能などにも利用するが、最も活躍するのはカメラユニットの制御。1億枚以上の写真データで被写体の画像パターンを認識し、最適と判断した設定で写真が撮影できるようにする。これまでのカメラメーカーにはなかった発想だ。

これからのスマホに搭載する撮影技術の研究にも余念がない。6月に上海で開催されたCES ASIAの基調講演で、ファーウェイのコンシューマビジネスグループ 携帯電話製品ラインのKevin Hoプレジデントは、多くのレンズを1枚のレンズに集約できる「メタレンズ」や、機械や人体の内部が透視できる「Photon撮影技術」、さらには角を曲がった先の被写体を捉える「Femto撮影技術」などがスマホのカメラに実装されることになるだろうと話した。巨大市場を背景に、スマホメーカーがカメラ技術のフロントランナーになりそうな勢いを示した。

ドイツ・ケルンで2年に一度開催されているフォトキナ。今年は9月26日~29日、ケルンメッセで開催される。世界中の主要カメラや関連機器メーカーが集まるだけに、開催に合わせた新製品の発表も多く、今後の市場動向を占うためにも重要な見本市だ。しかし、カメラ市場の縮小を受け、大きなメーカーが出展しないのではといった噂も絶えない。来年から毎年5月に開催することになるため、隔年での9月開催は今回が最後。スマホメーカーの本格参入で、多くの意味で節目の年になりそうだ。(BCN・道越一郎)

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