なぜこんな低価格が実現するのか?

ラーメンの味をしっかり堪能したところで、大沢さんに再びお話をお聞きする。

「この話をいただいたときに、お金のない若い子たちにお腹一杯ラーメンを食べてもらえるお店を作りたいと思いました。そこで220円という低価格を実現するべく、さまざまなコストダウンの施策を実行しました」

具体的な施策の一例はこちら。

・オーナーさんのご好意で、家賃をきわめて低く抑えることに成功。
・以前のお店の内装や外装をほとんど変えずに使用。
・割り箸などの使い捨て系は使用しない。
・食材のロスを出さないために、やや少なめに材料を調達。
・余計なメニューを増やさない。

割り箸は使いません
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これもコストダウンの一環でしょうか
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しかし、そこまでしてもやっぱり220円で利益を出すのは厳しいのでは?

「正直なところ、確かに厳しいですよ。私が所帯持ちだったら厳しいかもしれません。でも、今はこの仕事が楽しいので良いんです」

会社に勤務していた時代に比べれば、自由に働くことができて、お客さんの喜ぶ顔を見られる現在は非常に充実しているという。

 

味のコンセプトは「屋台のラーメン」
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そしてもう一つ、大沢さんがこのお店に込めた想いがある。

幼少期、父に手を引かれ、ワクワクした気持ちで食べに行った屋台のラーメン。あの懐かしい味を再現したかったのだ。

「今は家系ラーメン全盛期ですが、こういう素朴な醤油ベースの懐かしい味も残っていてほしいと思いました。スープは鳥ガラと野菜でダシをとった、シンプルな優しいスープです」

昔懐かしい味を懐かしみ、高齢のお客さんも数多く来店するそうだ。お昼には区役所をはじめとした近隣のビジネスマン、夕方には塾帰りや部活帰りの小学生から大学生まで、さまざまなお客様が足を運ぶ。

 

ときにはお客さんと肩を並べて飲むことも
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近ごろは少しずつ常連客も増えてきて、閉店後は大沢さんもカウンターの外に出て、残っているお客様と一緒にお酒を楽しむこともあるという。

お財布の中身が寂しいときも、心が寂しいときも、優しいラーメンで元気をチャージできそうだ。

 

取材を終えて

工事現場のど真ん中という立地ではあるものの、今のところお店を移動しなければいけないような状況は想定していないとのこと。
「私が所帯を持つまでは、続けるつもりです」と話す大沢さん。

体も心も温まる220円ラーメン、大沢さんが所帯を持つ前に、ぜひ一度味わいに行ってみてはいかがでしょうか。


ラーメン鳥竹
所在地/川崎市川崎区東田町9-3
営業時間/11:30~20:00(材料がなくなり次第終了)
定休日/土曜日


※本記事は2014年9月の「はまれぽ」記事を再掲載したものです。

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