HTCが発売するフラグシップスマートフォン「U12+」。今度のモデルはSIMフリースマホとして国内でも販売が始まる

台湾に拠点を構えるHTCは7月20日、約1年ぶりのフラグシップスマホ「HTC U12+(ユートゥエルブ・プラス)」を発売する。6月27日15時から直販サイトのHTC e-shopでは先行予約の受付が始まった。SIMフリースマホとして、同社直販サイトやAmazon.co.jpで販売されるほか、MVNOはIIJ mio、NifMo、楽天モバイル、LinksMateが今のところ取り扱いに名乗りを上げている。

傾きで色が変化する美しいガラスきょう体

本機は約6インチのQHD+(2880×1440画素)液晶ディスプレイとAndroid 8.0を搭載した、いま流行りの画面アスペクト比18:9のスリムデザインを採用するスマートフォン。片手でホールドしながらサクサクと軽快に操作できる。

CPUにはクアルコムの最新モバイル向けSoC「Snapdragon 845」を搭載したほか、6GBのメインメモリを内蔵。カラーバリエーションはトランスルーセントブルー/セラミックブラック/フレームレッドの3色。

カメラはメイン・フロントともにデュアルレンズ

U12+はHTCの新しいフラグシップモデルとして他社製端末に引けを取らない充実のカメラ機能を乗せた。本体裏側のメインカメラだけでなく、セルフィー撮影に活躍するフロントカメラの両方が二つのレンズユニットを使って撮影するデュアルカメラ仕様とした。

メイン側はレンズ焦点を広角と望遠に役割を分けて、センサーの解像度は広角側が12MP、望遠側が16MPとする。フロント側は2基ともに広角アングルでセンサー解像度はともに8MP。デュアルカメラの醍醐味である「ボケ味」を活かした本格的な写真撮影が手軽に楽しめる。動画撮影は最大4K/60p対応。

動画・音楽再生もプレミアムなユーザー体験にこだわった。ディスプレイはHTCのスマホとして初めてHDR対応になり、同じHDR対応の動画コンテンツは自然な色合いとコントラスト感を引き立たせながら再現する。

内蔵スピーカーは左右チャンネルを専用のアンプで駆動。エンクロージャーは容積とレイアウトを本機に合わせて再設計。パワフルで深みのあるスピーカーサウンドが鳴らせる。前機種U11と同様にアナログイヤホン端子を持たないUSBイヤホン専用スマホだが、商品パッケージにハイレゾ対応イヤホンを同梱する。他社製のUSBイヤホンによるリスニングも可能だ。

独自機能「エッジ・センス」がさらに進化

ライバルのスマホと肩を並べるカメラまわりとエンターテインメント系の機能を充実させたほか、これはU12+ならではと呼べる個性も備えている。

まず、本体のボトム左右側面に配置したセンサーに触れて、「握る」「持つ」「ダブルタップ」の操作をトリガーとして、ユーザーが割り当てた任意のアプリや機能を呼び出せる「エッジ・センス2」だ。

U11から搭載するエッジ・センスからアクションを追加して、さらに本体がスリムになったことで片手操作がますます楽にできるようになった。テザリングの起動などビジネスシーンで頻繁に使う機能のショートカットを登録しておくと便利。ぜひ活用したい。

また、AIアシスタントについてはGoogleアシスタントとAmazonアレクサの二つを端末にビルトイン。後者についてはアマゾンのスマホ向けサービスが提供を開始したらすぐにアップデートで追加されるという。スマートスピーカーのようにU12+に向かって「アレクサ」と声をかければ、ホームネットワークを介してつながっているAlexa対応のスマート家電などが操作できるようになりそうだ。

防水・防塵・FeliCa内蔵で日本向けにチューニング

今回発売されるU12+はHTCが世界各国で展開するグローバル端末だが、日本で販売されるモデルについてはIP68相当の防水・防塵性能を持たせたほか、おサイフケータイが利用できるFeliCa内蔵仕様。日本ローカルのニーズに合わせたチューニングにも抜かりはない。

気になる本機の販売価格は9万5000円(税別)と発表された。国内で売られているSIMフリースマホとしてはまぎれもなく高価な端末だが、手に取った時の質感の高さや、かゆいところに手が届く多彩な機能が使いやすくまとめられている適正価格のスマホだと筆者は感じた。

世界で初めて強化ガラスを曲げて、丁寧に削って成形したという「低温ポリッシュ3Dガラス」を採用したことによる透明感あふれるルックスも満足度は上々。U12+の成功を握る鍵は、カッティングエッジな端末の魅力をなるべく多くの人々がじっくりと体験できる機会を設けることに尽きると思う。(フリーライター・山本 敦)

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