カンパニー・フィリップ・ジャンティ 『忘れな草』 撮影 阿部章仁 カンパニー・フィリップ・ジャンティ 『忘れな草』 撮影 阿部章仁

カンパニー・フィリップ・ジャンティによる舞台『忘れな草』のジャパンツアーが、10月16日東京・PARCO劇場よりスタートした。

カンパニー・フィリップ・ジャンティによる作品は不思議な魅力を持った人形、ダンス、マイム、マジックを駆使して舞台空間に生命を吹き込む、他に類を見ないステージアート。今回上演する『忘れな草』は、巨大な冬景色の中、雪ゾリに乗った夢の配達人たちが死んでしまった”思い出”のかけらを集めている。彼らが紡ぎ出す思い出のコラージュによってひとりの女性の生涯を浮かび上がらせる・・・という作品。同作は1992年3月にパリ市立劇場にて初演が行なわれ、発表の翌年、1993年にパルコ劇場にて日本初公演を果たした作品。今回の来日公演では、この傑作と名高い本作に新たな息吹を吹き込こんだ完全リニューアル版を上演する。

同作のリニューアル版を上演することについて主宰のフィリップ・ジャンティは「近年、私は人の声や歌を作品の中で多用し、「忘れな草」も同様、ひとりの女優の歌とともに始まります。声は非常に興味深い演劇素材のひとつです。しかし言葉は時に、ひとつの限定された方向や、解釈の中に意味を封じ込めてしまいます。私たちは、すでに出来上がった説明を差し出すのではなく、観客ひとりひとりが、自分の解釈を持てるようにしたいと思っています。また、官能的な音素材のほうが、台詞の言葉のメッセージよりも、ずっと重要なものになり得るのです。だから最近の作品では、役者に歌わせるようにしているのです。『忘れな草』に出演する若き役者たちは、皆素晴らしい声の持ち主でしたので、多くのシーンで声を使うことにしました。この新たな音楽的要素を追加する為に、改めて作品の全ての骨組みが、考えなおされたのです」と明かした。

また、日本の観客へ「『忘れな草』は、人間の想像領域を探ることにインスパイアされ生まれた作品で、観客ひとりひとりを不思議な体験へといざないます。単なる筋立ての糸を手繰るのではなく、夢の世界に飛び込み、連なる空想のイメージに身をゆだねる用意があなたにあれば、この作品を通して、心おどる驚きの旅が、そしてあなた自身の想像力を映し出す鏡となる何かが、きっと待っているはずです」とコメントを寄せた。

カンパニー・フィリップ・ジャンティ『忘れな草』は10月26日(日)までPARCO劇場にて上演。その後、名古屋・京都・仙台・盛岡・大阪・山口・広島・福岡を周り、日本での最終公演を11月19日(水)新国立劇場 中劇場にて行なう。チケットは発売中。