『ヘラクレス』を手がけたブレッド・ラトナー監督

ドウェイン・ジョンソンが主演するアクション・アドベンチャー超大作『ヘラクレス』が間もなく公開になる。これまでも繰り返し英雄ヘラクレスの物語は映画化されてきたが、本作は新たな視点やキャラクター造形に挑んでいるようだ。来日したブレッド・ラトナー監督に話を聞いた。

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ヘラクレスは神々の王ゼウスと人間の間に生まれた地上最強の英雄だが、映画では仲間とともに傭兵として諸国を放浪しており、強さで相手を制するのではなく、仲間に目を配り、彼らから厚い信頼を得ている人物として描かれる。「ドウェイン・ジョンソンがヘラクレスを演じたことが、この映画にとって大きかった」というラトナー監督は「ドウェインはこの映画のヘラクレスによく似ているんだ」と笑顔を見せる。「彼は本当に愛されていて、周囲の人たちにやる気を起こさせる男なんだ。すごく準備をして現場に現れるから私もみんなも『もっと準備を積まないと!』と思うしね。彼はカリスマ性があって、ユーモアもある。この種の映画はシリアスになりがちだけど、この映画にはドウェインのユーモアがしっかりと描かれている。もし、ドウェインじゃなければ、こんな映画にはならなかっただろうね」

また、監督はヘラクレスだけでなく、他のキャラクターも丁寧に描くことを心がけたという。「何作も映画を作って学んだことは、ヒーローもそうでないキャラクターもちゃんと描きこまなければならない、ということだ。例えば、イアン・マクシェーンが演じたアムピアラオスは予言者で、自分の死を予感しているが、ヘラクレスが彼の運命を変えてしまう。その時に観客は驚くし、感情移入できるんだ。だからヘラクレスだけじゃなくて、他のキャラクターにもしっかりとしたストーリーを与えたよ。この映画にはバトルシーンがたくさんあるけど、大事なのはそこで戦うキャラクターだ。彼が何を感じて、何のために戦うのか観客に知っていてほしいんだ」

さらにラトナー監督は「周囲の人をしっかりと描けば描くほど、彼らが愛し、命をかけようとするヘラクレスの魅力が観客に伝わる」と説明する。「この種のアクション映画は大抵の場合、主役ばかりが目立つだろ? でもこの映画は違うんだ。そこがドウェインのすごいところでもあるんだ。彼は弱さを見せることを恐れないし、自分以外のキャラクターが輝くことを受け入れるんだ」。単に筋肉がすごくて力のある男ではなく、弱みを見せる勇気があり、周囲の人々が支え、命をかけたくなる男こそ真の英雄であり、真のリーダーではないだろうか? 「ヘラクレスもドウェインも自分ではリーダーを務めているとは思っていないんだ。周囲の人が彼をリーダーだと思っているんだよ」

『ヘラクレス』
10月24日(金)TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー