2001年の初演以来3度上演され、2005年には本広克行監督により映画化もされた『サマータイムマシン・ブルース』。このヨーロッパ企画の代表作が、劇団旗揚げ20周年を記して、13年ぶりに再演される。それも、続編となる新作『サマータイムマシン・ワンスモア』との交互上演となるというのだから、楽しみは倍増だ。作・演出の上田誠をはじめ、劇団員の石田剛太、酒井善史、諏訪雅、中川晴樹、そして、『ワンスモア』にゲスト出演する藤谷理子が顔を揃え、抱負を語った。

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『サマータイムマシン・ブルース』の舞台となっているのは、とある大学のSF研究会の部室である。前日にクーラーのリモコンが壊れてうだるような暑さに包まれているなか、タイムマシンらしき乗り物が置かれていることに気づく部員たち。ふざけて試し乗りしてみると本物であることが判明し、昨日へ戻って壊れる前のクーラーのリモコンを取ってこようとするところから始まる騒動を描いていく。旗揚げ時からSF的な世界を得意としてきたヨーロッパ企画だが、「過去に行って冒険してきましたというような曖昧なものではなく、過去を変えても同一時間軸のなかで完全に辻褄が合うというストイックなタイムマシンものができた。それが面白く観てもらえた秘訣だったかもしれないですね」と上田。作品の人気ぶりを諏訪も証言する。「初演のときから客席の反応がよくて、再演するたびに動員が増えたり劇場が大きくなったりと、僕らの節目となった作品でした。今回も次への節目となる公演になったらなと思います」。

『ブルース』の15年後を描く『ワンスモア』を上演するのも、上田曰く「ただ懐かしいというだけでなく、先につながるものもやりたい」という思いからだ。だからこそ、『ワンスモア』には、今でき得る最高のタイムマシンものの面白さを詰め込みたいと思っている。メンバーも、石田は「今度は同時に自分が3人ぐらい存在して、しっちゃかめっちゃかになりたい」、発明が特技の酒井は「タイムマシンの造形がレベルアップしているんじゃないかなと思う」と期待を募らせる。物語の恋愛部分を担う中川が、「『ワンスモア』であのときの恋の結末がはっきりするかと思うと切ない(笑)」と言うように、青春のほろ苦さを味わえるのもこの作品の魅力だ。藤谷も言う。「どこかノスタルジックな雰囲気があって大好きなあの世界観に入れるのかと思うと、純粋にうれしい」。その独自の世界観をより堪能するには、やはり、2作併せて観ることをオススメしたい。

公演は7月28日(土)滋賀でのプレビュー公演を皮切りに、京都、東京、大阪、愛知、広島、福岡を巡演。

取材・文:大内弓子