openCanvas 6

イラストの初心者から上級者まで、幅広く対応するペイントソフト「openCanvas 6」が、9月5日、ジャングルから発売された。ペイントソフト市場は、気軽に趣味のイラストを発表できるイラストコミュニケーションサイト「pixiv」が人気を集めていることもあって、「ペイントツールSAI」や「CLIP STUDIO PAINT」など、さまざまなソフトが脚光を浴びている。数多くのペイントソフトのなかから自分に合うソフトを選ぶには、やはり一度使ってみるのがいいが、なかなかソフトに触れる機会はない。そこで、プロの商業イラストレーターに使用感を聞いた。

●イラストレーターが「openCanvas 6」を体験

商業誌やメーカーのリーフレット用のイラストを手がけるイラストレーターの利光春華さんに、「openCanvas 6」を使ってもらった。利光さんは、20~30歳代の女性向けのファッション、アパレル系を中心にイラスト制作を手がけている。作品は、モデルの写真のまわりをイラストやロゴで装飾したものや、水彩風の柔らかなタッチのものが多い。

──ふだんイラスト制作に使用しているソフトは何ですか?

利光 アドビシステムズの「Photoshop」と「Illustrator」です。

──「openCanvas 6」を初めて使ってみて、いかがでしたか?

利光 シンプルなユーザーインターフェースで、一枚絵を描くためのソフトという印象です。「Photoshop」は描画機能や編集機能など、さまざまな機能が入っていますよね。それに比べて「openCanvas 6」は、イラストを描く機能に絞ったシンプルなソフトですね。

例えば、「Photoshop」は使うツールやパレットをウィンドウから呼び出して使いますが、「openCanvas 6」では最初から表示されているので、呼び出す手間がない。初めて使う人にとって、とてもありがたいですね。

──イラストを描くときに便利だった機能はありますか。

利光 「手のひら」ツールが便利でした。表示操作のツールを1か所に表示する機能なのですが、表示の移動、回転、拡大/縮小、左右反転などができます。手の動く向きに合わせて、キャンバスを回転するときに便利です。「Photoshop」にも同様の機能はありますが、「openCanvas 6」のほうが呼び出しやすくて、ずっと使いやすいですね。

──描画機能はどうでしょうか。

利光 ペンタッチは「Photoshop」と同じぐらいか、それよりいい感じです。「Photoshop」は細かく設定できるのがよさではありますが、アナログっぽくなるように太さ、向きなどを細かく設定するのは、初心者には難しいと思います。「openCanvas 6」は、これがあらかじめ設定してあって、すぐにアナログっぽいタッチでイラストを描いたり、色を塗ったりできました。

●「openCanvas 6」でイラスト制作 筆圧感知が優秀

──それでは、「openCanvas 6」で制作したイラストを見せていただけますか。今回のイラストのテーマは何でしょうか。

利光 「東京」です。できあがったイラストは、無料の画像共有アプリ「インスタグラム」にアップすることが多いですね。海外の方も見てくださるので、日本っぽいものを、と思って、東京をテーマにしました。

──使用ブラシはエンピツですよね。なぜエンピツを選んだのですか。

利光 専門学校の学生の頃からエンピツツールを使っていたので、自分にとって描きやすいツールなんですよ。

──ふんわり塗っているところや、勢いのある線で描いているところなど、アナログのエンピツっぽい感じが出ていますね。

利光 筆圧感知がよくて強弱がつけやすく、アナログっぽく仕上がりました。「手のひら」ツールを使って拡大/縮小や回転をしたので、らくに作業が進められました。

──最後に、実際に使用した感想をまとめてください。

利光 ソフトのプログラフサイズ(20MB)が小さく、動作が軽いのがよかったです。レイヤを何枚か重ねると重くなるソフトがありますが、まったく重くならなくて、本当に快適でした。これだけの機能が入って、価格が6800円(税抜き)って、コストパフォーマンスがいいですよね。「Photoshop」は高価なソフトですから、イラストをメインに描かれる方には、「openCanvas 6」がオススメですね。

(BCN・山下彰子)