Nothing's Carved In Stone 撮影:橋本塁 Nothing's Carved In Stone 撮影:橋本塁

Nothing's Carved In Stoneが10月24日(金)東京・Zepp Tokyoで8月より全23公演を開催した「Strangers In Heaven tour」の東京公演を行なった。

「踊りませんか~!」。村松拓(vo、g)のシャウトにのっけから蜂の巣をつついたような大騒ぎとなる場内。日向秀和(b)がぶっといベースラインを弾きながらステージ最前列でぐいぐいと煽り、生形真一(g)は切れ味鋭いリフ、繊細なアルペジオ、ドラマティックなギター・ソロを次々と繰り出し、大喜多崇規(Dr)が変幻自在で超絶なビートを刻んで唯一無二のグルーヴを支える。これまで4人が日本の音楽シーンでそれぞれ発揮してきたキャリアがこのバンドで渾然一体となって客席に放たれるサウンドのスケールはハンパない。ステージのライティングも演奏と見事にシンクロして躍動感を増幅していく。感情が爆発する曲、シークエンスを絶妙に取り込んでクールで緻密なアレンジが心地好い曲、壮大なスケールで心奪われる曲と、彼らの曲の表情は実に豊かでツアーの充実ぶりがうかがえた。

「聴いてくれる皆の気持ちに寄り添うようなアルバムになって欲しいっていうのが願いだったんで、皆の顔を見てライブをすることでアルバムの曲たちが完成に近づいてる実感がある」と語った村松。「こっちからあんまり見えない皆の顔が瞬間的に映し出されるんですよ。そうするとほぼ100%笑顔です(笑)。俺たちバンドマンにとってそんなご褒美ないからね」という表現で感謝の気持ちを伝えると、耳をつんざくほどの大歓声でそれに応えるファンたち。かけがえのない音楽を届けるバンドとそれを最高の歓迎で受け止めるリスナー。その信頼関係というか絆が感じられて素敵なシーンだった。

本編19曲、アンコール2曲に、村松いわく”ツアー中にもかかわらず出来た”新曲のワンフレーズを披露したあとにさらに1曲。翌日の大阪・Zepp Nambaでツアーファイナルを迎えた彼らのツアーは各地で尋常じゃない盛り上がりを見せた。
(取材・文:浅野保志)