(左から)別所哲也、加藤夏希(特別ゲスト)、エリック・クー監督

“劇画”の生みの親である伝説的作家・辰巳ヨシヒロ氏の半生を描くシンガポール製作の長編アニメーション『TATSUMI マンガに革命を起こした男』が10月27日、第27回東京国際映画祭が開催中のTOHOシネマズ六本木ヒルズで特別上映され、メガホンをとったエリック・クー監督、声優を務めた俳優の別所哲也が舞台挨拶に立った。

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昭和30年代に大人が読めるマンガ=劇画を生み出した辰巳氏が、自身の半生をつづった「劇画漂流」と、同氏による5つの短編作品から構成。 劇画誕生の秘密や辰巳氏が劇画で挑んだ革命的な表現、さらに手塚治虫との知られざる関係がひもとかれる。

2011年の第24回東京国際映画祭でアジアの風部門のアジア映画賞スペシャル・メンションを受賞し、第64回カンヌ映画祭・ある視点部門のオフィシャルセレクションにも選出。第84回アカデミー賞外国語映画賞のシンガポール代表に選ばれるなど国際的な評価を集める一方で、長らく日本での劇場公開が決まらない状況が続いていた。

ついに今年11月から全国順次上映が決定し、クー監督は「とても幸せで光栄。辰巳センセイも、嬉しく思ってくださっている」と安どの表情を浮かべた。初の長編アニメに挑み、「才能あふれる偉大な方なので、敬意を示すためにアニメという手法を選んだ。私にとっては最初で最後のアニメ作品」と断言。「辰巳作品のストーリー性と力強い人間性を堪能してほしい」と話していた。

声優として6役を演じ分けた別所は、「俳優としてこんなチャンスに恵まれることはなかなかないし、素晴らしい経験をさせてもらった」と手応え十分。「ぜひ、ジブリファン、押井ファン、庵野ファンにも観てほしい。日本を知るきっけかになれば」とアニメに注力する今年の東京国際映画祭を意識し、アピールした。上映会には、アニメや漫画が好きだというタレントの加藤夏希が駆けつけた。

クー監督は、第27回東京国際映画祭コンペティション部門の審査員を務めている。

『TATSUMI マンガに革命を起こした男』
11月15日(土)角川シネマ新宿ほか全国公開

※取材・文:内田涼