日本の美容業界のチャンスはインバウンドだけにあらず。いま中国進出の好機が到来している

日本・中国で美容専門情報サイトを運営するオーエスは7月10日、「中国美容業界が第5の成長産業に」をテーマにしたプレスセミナーを開催。インバウンド向け事業で収集した情報やデータをもとに、最新の中国美容業界の現状を説明した。

急成長の影で品質に課題

オーエスは、美容専門情報サイト「BeautyPark」や歯科専門情報サイト「歯科Park」などのWebメディア運営が主事業だが、中国向けの事業も数多く展開している。中国ユーザーに特化した美容専門情報サイト「BeautyPark玩美花園」もその一つで、サロンや商品の情報を発信しているほか、訪日前に中国人に対応したサロンの予約代行サービスも実施している。

中国の美容業界の現状はあまり知られていないが、国内では不動産・自動車・通信・観光に次ぐ第5の成長産業といわれている。ヘアサロンやエステサロン、ネイルサロンといった美容サービスを提供する店舗は2016年時点で33万店を超え、現在も増加し続けている。

業界が急速に発展する一方で、技術・サービスの両面で品質が低い店舗が乱立していることが問題視されている。こうした人材の育成だけでなく、ブランド重視へと進む消費者のマインド変化もある。このため織田光一代表取締役は、「中国の美容業界はまだ初期段階。日本のレベルに達するまでにはまだ時間がかかる」と予想する。

中国における美容のブランド価値は「日本>韓国」

「美容といえば韓国」というイメージが強いが、中国では韓国より日本の美容に対する信頼性のほうが高いという。「技術力はもちろん、おもてなしの心に惹かれるお客様が多い」と織田氏は語る。そのため、激しい競争を生き残るための差異化ポイントとして、技術・経営・商材で日本式を真似るサロンが多いのだそうだ。また、中国には家族や友人の口コミを最重視する文化がある。旅行者が現地で体験した日本美容の評判を広めたことも、現在のサロン人気の呼び水になっている。

美容はインバウンド需要ばかりが注目されがちだが、現地の状況を考慮すれば中国国内にもビジネスチャンスは転がっている。オーエスでも、今後、越境ECでの商品販売や美容講師を中国に派遣するプロジェクトなど開始し、中国でのビジネスの拡大に取り組む予定だ。すでに多くの業界で中国の品質が世界水準に近づきつつあるいま、美容は日本品質が高く評価される貴重な市場といえそうだ。(BCN・大蔵 大輔)

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