『天才スピヴェット』

『アメリ』のジャン=ピエール・ジュネ監督の最新作『天才スピヴェット』が間もなく公開になる。本作は、ライフ・ラーセンの小説を映画化した作品だが、ジュネ監督は原作に深く共感し、じっくりと時間をかけて映画化したようだ。このほど原作者も登場する特別映像が公開になった。

特別映像

映画は、弟の死を機に家族がバラバラになってしまい「自分がいなくなればよかった」と考えている天才少年のスピヴェットが、権威ある科学賞の授賞式に出席するため、家族に内緒でアメリカを横断する様を描いている。

これまで数々の奇抜な物語を描いてきたジュネ監督は本作では当初から“既存の物語”に基づいて作品を作ることを決めていたという。一方、『T・S・スピヴェット君傑作集』の著者ライフ・ラーセンは、ハリウッドの関係者に「映画化されるとしたら誰に監督してもらいたいですか?」という質問に5人の監督の名を挙げ、その中にジュネ監督の名前があったと振り返る。このほど公開された映像にはジュネ監督が小説を映画の脚本にしていく作業が丁寧に描かれ、監督とラーセンのメールのやりとりや、ふたりの対談が登場する。

ふたりは生まれも年齢も異なるが、ジュネ監督はラーセンが書いた物語とスピヴェット少年の造形に圧倒的な“共感”をおぼえたようで、ラーセンもジュネ監督が作り出した映画について共感と満足感を得ているようだ。これまで“独自の作風”や“唯一無比”と称されることが多かったジュネ監督が、誰かが書いた物語を描くとどうなるのか? 公開が楽しみだ。

『天才スピヴェット』
11月15日(土)よりシネスイッチ銀座、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開


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