子育てしていると、子どもが言うことをきかなくてついイラッとしてしまうこと、ありますよね。

怒ってばかりの毎日で、子どもの寝顔を見ながら「ごめんね」とつぶやいたり、「なんでもっと笑顔でいられないんだろう」なんて反省したり……。出産前には想像もしていなかったそんな感情の起伏に、自分でもとまどってしまうママも多いと思います。

そんなママたちのがんばりにそっと寄り添うような1冊の絵本が、絵本作家のえがしらみちこさんによる『あなたのことが だいすき』です。これは、漫画家・西原理恵子さんの著書『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』との出会いから生まれた絵本だそう。

初めての育児にとまどいながらも、必死でがんばっているママの姿が優しいタッチで描かれ、育児経験者ならきっと誰もが共感できる内容になっています。

今回は、著者であるえがしらさんにインタビュー! 子どもでなくママに向けた絵本を描くことになったきっかけや、ご自身の子育て体験などについて伺いました。

いろいろな場面で絵本に支えてもらっていた

――ふだんはお子さん向けの絵本を描かれていると思いますが、今回あえてママに読んでほしいという絵本を描いたのはなぜでしょうか?

えがしらみちこさん(以下、えがしら)「前から一度はお母さん向けの絵本をかいてみたいなと思っていました。というのも、私自身が詩に助けられたというか、出産前に『おかぁさん』という大人向けの詩の絵本に関わったことで、現在5歳になる娘の乳児期はとても気持ちが落ち着いていたんです。

他にも『Today』や『ちいさなあなたへ』などを読んで、気持ちが楽になったり、じっくり自分の周りを見渡す気づきになったりして、いろんな場面で絵本に支えてもらった気がしています。そういう経験から、『いつかは私もそんな絵本がつくりたいなぁ』と考えていました」

――西原理恵子さんの『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』をきっかけに生まれた絵本だそうですね。

えがしら「Instagramでたくさんの方が『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』について投稿していたので、気になっていました。ちょうど書店で見かけたので購入し、『すこしだけ…』と思って開いたら、あっという間に内容に引き込まれて、その日のうちに読み終えてしまいました。

もうすぐ飛び立とうとしている娘さんへのエールと、その後ろ姿に少し感傷的になってしまう感じが、まるで自分の10年後を見ているような気がして、『この気持ちを忘れたくない。今のこの時間を大切にしたい』と強く思いました。

日々の家事や仕事もあるし、上手くバランスが取れなくてつい怒っちゃったり、そのことに自己嫌悪したりする日もあります。だけど『だいすきなんだよ』って気持ちは変わらない。そのことを忘れないために、絵本にして手元に置いておけないかな、と思うようになりました。

ちょうどその2ヶ月前に、KADOKAWAの編集さんに声をかけていただいていたのを思い出して、すぐに連絡しました。そうしたら、編集さんもまさに子育て中のお母さんで、とても共感してくれたんです。そこからは流れるようにお話が進んでいき…という感じです」