上海市内の「小米之家」

中国のIT大手小米(シャオミ)が7月9日、香港証券取引所に上場した。新規株式上場(IPO)による資金調達額は約370億香港ドル(約5200億円)だった。予想されていた1兆1000億円超を大きく下回ったが、雷軍CEOは「悪いことではない」と冷静な姿勢だ。

資金調達額が予想に届かなかったのは、米中の貿易摩擦が影響しているとの見方が多く、今回のIPOは失敗したとの報道もある。それでも、10日付中国紙・21世紀経済報道によると、シャオミの雷軍CEOは「低いところから始まるのも、悪いことではない」と述べた。

シャオミは、2010年に創業し、スマートフォンを主力事業に成長してきた。最近では、スマートフォンに加え、シンプルなデザインを特徴とした家電製品なども幅広く手掛け、実店舗の「小米之家(Mi Store)」で販売。若者を中心に人気を集めている。

21世紀経済報道は、シャオミが得意とするスマートフォンを中心としたハードウェア事業にとくに注目し、「超低価格、超低粗利率、超高回転の戦略は、市場で非常に有効」と評価する。さらに「ハードウェア事業は、シャオミの高速成長のカギを握る」と分析している。

ただ、シャオミは、自社のことを「スマートフォンとスマートハードウェア、IoTプラットフォームを持つインターネット企業」とHP上で紹介しており、得意分野のハードウェア事業以外にも調達した資金を振り当てる方針だ。

現地メディアによると、シャオミは調達資金の使途について、スマートフォンなどの研究開発に約30%、IoTや人工知能(AI)などの領域に約30%、グローバル進出に約30%を充て、残りの約10%は会社の運転資金に活用する。

今回のIPOは、2014年の阿里巴巴集団(アリババグループ)以来の規模になったが、盛り上がりはいまひとつだった。先行き不安は残るが、雷CEOは、現地メディアのインタビューに対して「まだ始まったばかり。10年後に今日を振り返れば、誰もが『シャオミのことは理解していた』と言うだろう」と自信を示した。