『TATSUMI マンガに革命を起こした男』(C)ZHAO WEI FILMS

第64回カンヌ国際映画祭“ある視点部門”に選出され、従来の商業映画の枠組みにとらわれない新しい衝撃をもった映画『TATSUMI マンガに革命を起こした男』。11月15日公開を前に、ぴあ映画生活では“若者に観て欲しい映画プロジェクト”と題し、日本大学藝術学部映像学科の学生を対象に試写会を実施。彼らの生の声を聞いた。

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本作は、高度経済成長期の“光と影”を描き続けた辰巳ヨシヒロの自伝的漫画『劇画漂流』と彼の代表的な5つの短編作品を基に、“劇画の父”と呼ばれた彼の半生を描き出すアニメーション作品。シンガポール映画界の旗手エリック・クーが監督を務め、別所哲也が一人六役の声、辰巳ヨシヒロ本人がナレーションを務める。

上映後のアンケート調査では、「人間の心理描写が非常に巧みで衝撃的」「グロテスクで人間の鬱屈したものがこんなにも露骨に描かれた作品を観たことがなかった」などその過激な内容とリアルな心理描写が印象的だったと語る学生が特に多く、「心がえぐられ、作品のエッジの効き方がものすごかった」「“劇画”という言葉にぴったりな劇的な思い出になった」「映画を観て消化できないことのほうが多い。だけれども、とても良かったということだけがこびりついている」など多くの学生にとって忘れられない映画体験となったようだ。

さらに、上映前と上映後では印象が違ったと回答する学生が多く、「良い意味でここまでしんどい思いをするとは思っていなかった」「静止画が動くというところが斬新で良かった。ただのアニメーションではなく、辰巳ヨシヒロの表現をさらに昇華させていた点が観る前と後では違っていた」などのコメントが寄せられた。

また、試写会に参加した多くが映画監督などを目指す映像科の学生とあって、辰巳ヨシヒロのマンガに対する情熱に感銘を受けたという声も!「反骨精神に近いセンセーショナルかつ過激な表現はクリエイターとして嫉妬に近い思いをさせられた」「どうあっても自分の作品を作りたい!という“熱”を持ち、それを感じることを忘れないことが力になるんだと思った」など、8割以上の学生が同じクリエイターとして何かしらの影響を受けたと答えていた。

『TATSUMI マンガに革命を起こした男』
11月15日(土)角川シネマ新宿ほか全国公開